私見「質問応答記録書作成のコツ」

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、私見「質問応答記録書作成のコツ」について。元調査官の立場としてお話します。

コツ1:チャンスは一度しかない

私が現役の若手職員だった頃は、質問応答記録書は一度で完成させなくてもいいんだと、何度でも取り直せばいい。

だから、質問応答記録書は、機を捉えてどんどん作りなさい。

と言われていました。

今思えば、これは若手に対して質問応答記録書作成の経験を積ませたい、という当局の意向があったのでしょうか?

確かに、質問応答記録書は作成にコツが必要です。

これは座学で学んで、即座に完璧なものが作れるようなものではないのです。

自分自身で作成してみて、精度を上げていく。

だから、質問応答記録書を作ろうとしない調査官は、いつまでたっても上達しないのです。

私の場合も、まともな質問応答記録書を作成できるようになったのは、税務調査の仕事を始めて4年目のことでした。

質問応答記録書を作成する機会を若手に与えたいという考えもわかるといえばわかるのですが、

残念ながら、同じ型にもう一度質問応答記録書を取らせてほしいというお願いは、基本的には叶わないのです。

例えば、調査対象の会社と通謀して不正に協力していた人間に反面調査をしたとしましょうか。

一度目は反面調査に協力をしてくれて質問応答記録書を取らせてくれた。

でも内容に不備があったので、もう一度連絡をしてみると、大抵連絡はつかないのです。

質問応答記録書作成のチャンスは、最初に会ったその場だけしかないのです。

その場でしっかりと相手を落とし切って、決定的な不正の証拠を質問応答記録書に盛り込めないと、こちらの負けです。

コツ2:不正のストーリーを詳細にイメージすること

自分が担当している調査について。

どのような不正な取引が行われていたのかを、自分でイメージできていますか?

ヒト・モノ・カネを押さえなさい、とよく言われたものです。

その3つを押さえた上で、取引図をきちんと描けているかどうか。

この取引をちゃんとイメージできていないと、そもそも何を質問応答記録書に盛り込めばいいのかがわからない。

取引図全体のうちの誰に話を聞いているのか、この人から聞き出すべき情報は何なのか、どういう情報聞き出しどのようなデータを入手できれば、重加算税をかけられるのか。

ここをイメージしないまま、質問応答記録書を作ったところで、何の意味もありません。

そして、イメージを作る上で大事なこと。

不正のストーリーを想定することです。

これは真実でなくても別に構わないんですね。

もしかしたらこういうことかもしれない、というストーリーをたくさん想定しておくこと。

想定すればするほど、詳細のイメージが描きやすくなります。

ただ、1つ注意点。

良くない調査官は、自分の想像したストーリーに固執してしまうのです。

自分のストーリーが間違っている証拠が出てきているのに、頑なにそれを認めようとしない。

自分の誤ったストーリーをもとに、強引な調査をし、納税者に課税の処分をする。

これだけはあってはいけません。

いろんなストーリーを想像するのはいいです。

でも、あくまで目の前の証拠に沿ったストーリーでなければいけません。

頭を柔らかく、視野を広く、「事実は小説より奇なり」ですよ。

コツ3:いきなり書き始めないこと

質問応答記録書を作成するという段階になって、いきなり本文を書き始めるのはお勧めしません。

大体書いてるうちに、これを書いておけばよかったとか、構成を変えたほうがよかったとか、いろいろ出てくるんですよね。

なので、メモ用紙か何かに質問応答記録書の全体像を書いてから本文を書き始める方が良いでしょう。

私は、ブロック形式で書いてましたね。

このブロックで、売上を計上していないことをまず認めてもらうと。

次のブロックで、どのようにして売上を計上しなかったのか、不正の手段を書き込む。

その次のブロックで、なぜ不正な申告を作成したのか動機を書くと。

最後のブロックで、売上をごまかしてため込んだお金は何に使ったのかを押さえる。

こんな感じですね。

それぞれのブロックに、どういう事実関係と証言を書き込めばいいのか、あるいは、物証を添付すればいいのかもセットでメモしていく。

もちろん実際はもっと細かくブロック分けしてもいいのです。

後は、実際の現場に合わせてブロックを入れ替えたり、増やしたり削ったりして全体の構成を決めていく。

この全体構成が、がっちり固まっていれば、後はその内容を淡々と書いていくだけ。

全体構成をしっかり作り込むことにエネルギーを投入した方が良いでしょう。

そうしないと税務署に帰った後で、あれが足りない、これを書くのを忘れていたとなってしまうのです。

【編集後記】

昨日までは納税者目線での内容でしたが、今日は調査官側の立場で書きました。

こういうものも、世の中の皆さんの参考になればいいですね。

さて、昨日は午前中はブログ更新と自重トレーニング。

午後からはクライアントの決算作成続き。