相殺取引にご用心!

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、相殺取引と消費税についてのお話です。

「1000万円」という意識

売上が1000万円を超えたら消費税を払わなきゃいけないよ。

というのは、事業者のみなさんご存知のようですね。

私も、これまで何人か事業者の方とお話しさせていただきましたが、「1000万円」という数字を意識されている方が多かったです。

そのせいか、私がスポットで立ち会った税務調査でも、消費税を払わなくていいように売上の金額が1000万円を超えないように「調整」している方もいらっしゃるくらいです。

あ、もちろん、「調整」なんてダメですよ。

売上のごまかしをした場合、最大7年間まで遡って税務調査をの対象になったうえ、「重加算税」という重たい罰金を喰らうことになりますからね。

ところで、1000万円の売上とは具体的に何の数字のことなんでしょうか?

通帳に振り込まれる金額ではない・・・かも

多いパターンとして、メインの取引先が2から3社で、売上代金が銀行通帳に振り込まれる、というもの。

これは簡単ですよね。

通帳に振り込まれる金額を1月分から12月分まで合計すれば、その年の売上が算出される。

(発生主義かどうか、という論点もありますが、話がとっちらかるのでここでは触れないこととします)

でも、それだと計算を間違う事例があるんです。

「相殺取引」という言葉はご存知でしょうか?

2人の当事者が、お互いにお金を支払う義務がある場合に金額の差額分だけ支払う、というもの。

例えば、AさんはBさんに10,000円払う義務がある。逆に、BさんはAさんに8000円支払う義務がある。

両方それぞれお金を全額払ってもいいんだけれども、手間なので10,000円と8000円の差額の2000円だけをAさんがBさんに支払う。

というもの。

実際にお金が動いてるのは2000円だけですが、取引としては、それぞれ10,000円と8000円をお互いに払ったということになります。

こういう取引、していませんか?

この場合、Bさん側の会計処理として、Aさんから2000円を受け取った、としか処理をしない方が結構多いものです。

あくまで総額で判断する

事例の場合は、ちょっと極端かもしれないので。

よくあるパターンとして、振込手数料をどちらが負担するのかという問題。

銀行間で振り込む場合、手数料支払わなきゃいけないケースがありますね。

その時に、振り込む側が手数料別途支払うのか、振り込んでもらう側が手数料を負担するのか、2つのパターンがあります。

振り込む側が手数料を支払うのであれば問題ありません。

でも、振り込んでもらう側が手数料を負担する場合、振込手数料の分だけ、請求額よりも振り込まれる金額が小さくなっているはずです。

あるいは、別のパターンで、建設業に多いのが有償支給というもの。

有償支給とは、外注先に材料などを支給するときに有償で行うことです。

会計処理で気をつけなきゃいけないのは、この有償支給があった時、自分が出した請求と、有償支給の金額が相殺されて振り込まれているのです。

振込手数料と有償支給はよくある話ですから、会計処理上で気を付ける必要があります。

会計処理としては、

  • 自身の請求額を売上にする。
  • こちらが負担した振込手数料と有償支給分を経費として処理をする。

という形になります。

何が困るのか、ですか?

確かに、所得税の計算上はあまり問題にはならないかもしれませんね。

結局、売上と経費が同額相殺されてるので、利益の金額は変わりません。

問題は消費税です。

消費税の売上の計算は、相殺される前の請求金額で行うことになるんです。

ですから、相殺された後の金額で、売上を計算して1000万円を超えなかったと安心しても、税務調査が入ったときに相殺した売上の分も含めて修正した結果、売上が1000万円を超えてしまい、まさかの消費税の申告義務が発生した。

なんて、恐ろしい事はしょっちゅうあります。

これ、消費税は、「無申告」という状態になってますからね。

調査で指摘を受けた際には、無申告加算税という罰金もついてしまいます。

自分では問題ないと思っていた会計処理で、こんな落とし穴がある。

非常に怖いと思います。

ぜひ、この相殺取引について、自分のビジネスでも起きていないかを確認し、会計処理を正しく行いましょう。

【編集後記】

昨日は午前中はブログ更新。外出し眉毛サロン。

帰宅後、税務署やクライアントと電話で打ち合わせ。