税務調査は「真実」を暴く場ではない

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、税務調査と「真実」についてのお話。

原則:税金は「事実」に基づいて課税する

「税務調査の現場で一番大事なことは何か?」

と聞かれたら。

「事実認定」であると答えるでしょう。

税金というものは、課税される条件が決まっています。

その条件を、事実に当てはめて検討し、満たしていれば課税される。

ここに調査のキモがあると私は思っています。

調査官の側は、課税する条件にあてはまるような事実を検証したいのです。

納税者(税理士)の側は、課税する条件を外すような事実を調査官に認めさせたいのです。

いくら、税金を課税するルールに関して詳しくても。

事実関係を外されてしまえば、何の意味もありません。

では、税務調査の場面で言う「事実」って何のことなんでしょうか?

事実≠真実

勘違いしてはいけないのが、

税務調査の場面で検証する事実は真実とは違うということ。

ここが要注意ポイントでもあり、興味深いポイントでもあるのです。

調査官は課税できるような事実を探すし、納税者は課税できないような事実を提示する。

「探す」「提示」のは、物的証拠・データですよ。

こういったものをお互い見つけてぶつけ合うわけです。

調査官「日付が翌期になっている消耗品の請求書がありました。今期の経費ではないですよね」

と、翌期の経費になる事実をぶつけられたら、

納税者「請求書は翌期に遅れて受け取りましたが、請求書に記載の消耗品は年度内に納品されています。納品書を提示しますので、今期の経費です」

みたいな感じですね。

こうやって、物的証拠・データを繰り出しながら、「事実」を決めていくわけです。

ですから、ここで物的証拠・データを出すことができなければ、負けということです。

先の例で、

納税者「請求書は翌期に遅れて受け取りましたが、請求書に記載の消耗品は年度内に納品されていると思いますが・・・」

なんて対応していると、「翌期の日付の請求書」という物的証拠には勝てませんので、押し負けるわけです。

税務調査の現場では、消耗品は翌期に納品されていた、ということが「事実」になるわけですね。

「真実」は今期の納品だったのにね。

事実は納税者と調査官の「合同作品」である

ちょっと刺激が強い話かもしれませんね。

税務調査の現場の事実は、納税者と調査官の物的証拠のぶつけ合いで決まっていくもの。

ですから見方を変えると、納税者と調査官が協力して、事実を作っていくことになるわけですよ。

極論。税務調査はお金で解決できる問題であるのです。

調査官は会社をつぶしたいわけでも、納税者の人生をどうこうしたい訳ではなく、

「申告を修正して税金を払ってほしいだけ」

なのです。

納税者の側は納税者の側で、

「これは表ざたにしたくない」

「これは調査で深堀してほしくない」

こういったことを抱えていらっしゃる。

この両者の思惑によって、税務調査の現場で事実関係を決めることはあるのです。

税務調査は真実を暴く場ではない、というタイトルはこういう意味なのです。

納税者が「秘密を告白せずに済むなら、これくらいの追徴税額で調査が終わればいいかな」と思い、

調査官が「何かまだ隠してるんだろうけど、物的証拠がなくて追及できない。でも、ある程度課税できるし納税もしてくれるなら」と思えば、

そこで事実が確定し調査が終了します。

その両者の思惑を理解したうえで、顧問税理士としてどう関わればいいのか。

正解はないので、答えは言いません。

自分自身の価値観やスタンスを総動員して、あたりましょう。

【編集後記】

昨日はブログ更新。

その後はオフ。