法人税修正申告の別表調整⑥~消費税課否判定誤り~

法人税修正申告の別表調整シリーズ。

今日は、消費税の課否判定を誤ったケースです。消費税の判定を誤ったのに、法人税に跳ねてしまう。そういうケースです。


<参考>


設例

課税仕入れ1,100,000円を計上したが、内容を精査したところ非課税仕入であることが判明したケース。

調査の際にはチェックするところです。例えば、会社で従業員のために社宅を借りていて、賃借料を課税仕入れにしているとか。

こういう場合は、消費税のミスということになるのですが、これがなんと法人税の金額を動かすのです。

ではまず、修正仕訳を考えましょう。

現時点の仕訳はこちら。

(借方) 地代家賃 1,000,000円 (貸方) 未払金 1,100,000円
仮払消費税 100,000円

正当な仕訳はこちら。

(借方) 地代家賃 1,100,000円 (貸方) 未払金 1,100,000円

修正仕訳は次の通りです。

(借方) 地代家賃 100,000円 (貸方) 仮払消費税 100,000円

ご覧の通り、地代家賃が10万円分増えることになります。

これが、法人税の金額が動く理由なのです。

別表調整

まずは、別表4から。今回は、費用が増加しますので、地代家賃10万円を減算しましょう。そして、すぐ隣の留保欄にも10万円を記入することを忘れずに。

続いて、別表5(1)。こちらは表を見てみましょう。

(項目) (期首) (増加) (減少) (期末)
仮払消費税 △100,000円 △100,000円

え?所得金額と税額が減少しているので、修正申告にならないのでは?

その通りです。

このパターンは、消費税が修正申告、法人税が税務署からの「減額更正」となるのです。

翌年の別表調整

進行期で、会計の受入を行います。

(借方) 地代家賃 100,000円 (貸方) 仮払消費税 100,000円

別表4で、「地代家賃否認」とでもしまして、10万円を加算・留保欄に記載します。

続いて、別表5(1)

(項目) (期首) (増加) (減少) (期末)
仮払消費税 △100,000円 △100,000円   0円

となります。

これで、別表調整は完了です。

それから、

進行期の消費税申告の際は、進行期の法人税申告書で別表調整した「仮払消費税」の反映をお忘れなく~。

【編集後記】

税務調査の経験を積むと、こういうことも目にするようになります。

これも、「消費税の否認1件」にはなるのですが、法人税側で職権減額更正を行っていますので・・・。

こういう調査結果となった若手の調査官に対し、

「こんなスジが悪い調査をするな」

とベテランの調査官が指導していましたね。