法人税修正申告の別表調整②~売上もれと消費税(税抜経理)~

2024-05-03

法人税修正申告の別表調整シリーズ。

今日は、売上がもれていたパターンの消費税を加味した場合。


<参考>


設例

3月決算の法人。進行期の4月の売上のうち消費税込み111,111円分が、当期の売上とすべきものだった。

消費税の観点から言うと、

「進行期に計上した課税売上高のうち101,010円分が、当期の課税売上高とすべきものだった」

となります。

当然、免税売上高、不課税売上高が動いたケースもあります。法人税の観点からは、単なる売上の計上もれであっても、消費税の観点からは複数パターン存在するということは頭に入れておきましょう。

法人税申告書を修正する際には、修正仕訳を切るところから。以下の仕訳を法人税申告書の別表に反映させます。

(借方) 売掛金 111,111円 (貸方) 売上  101,010円
仮受消費税  10,101円

別表調整

昨日の別表調整では、単に法人税の売上が間違っていたということのみ修正しましたが、実際には、法人税と併せて消費税も修正申告書を作成することとなるパターンが多いです。

今回は、課税売上高が101,010円もれていた、ということなので、単純に計算して消費税の納税額は10,100円としましょう。

そうすると、

  • 消費税の納税額→10,100円
  • 仮受消費税の金額→10,101円

なんと1円だけ合わない、ということになります。消費税の納税額は100円未満切り捨てとなりますので、このように差額が出ることがあるのです。

消費税精算の仕訳も書いておきます。

(借方) 仮受消費税 10,101円 (貸方) 未払消費税 10,100円
雑収入 1円

この修正仕訳も含めたところで別表を作ります。なお、雑収入1円は、消費税の区分でいうと「不課税売上」となります。

まずは別表4で次の通り加算します。

(項目) 金額 留保 流出
売上計上もれ 101,010円 101,010円
雑収入計上もれ 1円 1円

次に別表5

期首 増加 減少 期末
売掛金 111,111円 111,111円
仮受消費税 △10,101円 △10,100円

(未払消費税分)

0円
△1円(雑収入分)
未払消費税 △10,100円 △10,100円

このようになります。

仮受消費税10,101円のうち10,100円は未払消費税に振り替わり、残りの1円が雑収入に振り替えられています。

(※別表4雑収入計上もれと別表5仮受消費税が連動します。別表4で加算しているのに別表5で減少欄に記載することに最初は違和感を感じるかもしれません。減少したものは負債である仮受消費税のため、マイナスが減少したことはプラスであるということで考えておくとよいでしょう。もしこの部分がわからなければ、機械的に覚えておくのも手です。)

この表では便宜的に2行に分けて説明していますが、実際の修正申告作成の際には、1行にまとめています。

最終的に、別表4の留保額が101,011円、別表5の期末残高が101,011円となり一致していることになります。

進行期の消費税申告書にご注意!

気を付けておきたいこと。進行期の消費税の申告書を作成する際は、修正対象となった課税売上高101,010円分を差し引くことを忘れないようにしましょう。

法人税の方は、数字を繰り越したうえで進行期で減算の調整をするので問題ないでしょうが、消費税申告書の方は前期から数字を繰り越して計算する仕組みになっていないので、ついつい忘れがちです。

前期に修正申告を作成した分について、消費税の調整を忘れないようにしてください

【編集後記】

ここまではまだ「初級編」といったところ。

ステップアップすると、「課税売上割合」という考えが出てきますので、消費税の計算はもっと複雑に。まぁ、消費税だけの世界で調整する分ならまだいいのでしょうが、これが法人税の計算にも跳ね返るとなるから頭が痛いのです。調査部時代は悩まされました・・・。

さて、昨日はブログ更新して、近所で買い物。