純損失の繰越控除~損益通算をしても赤字が残ったら?~
昨日の記事では、赤字が出た場合の損益通算について解説しました。→赤字になったら、他の黒字と相殺できる?
それでは、損益通算をしても赤字が残ってしまった場合はどうなるのか。
純損失の繰越控除(所法70①)
損益通算をしても残った赤字を「純損失」と呼びます。(所法2①二十五)
- 青色申告を提出している年に発生した純損失であること。
- その純損失は、確定申告書を提出する前の3年以内に発生したものであること。
- 純損失が発生して以降、毎年確定申告書を提出していること。(青色申告でなくてもいい)
この条件を満たすと↓
3年前までの純損失を今年の黒字と相殺できる!
計算方法(所令201①)
- 参考までに損益通算の順序(純損失の控除でも関係ありのため)↓
- まず最初に、その年内で損益通算を行う。それでも残った黒字に対して「純損失の繰越控除」ができる。
- 純損失の金額のうち損益通算の順序1~5の後に残った部分の純損失をまずは控除する。
- 純損失の金額のうちに山林所得の部分があれば、その年の山林所得から控除する。
- 2の計算でも残った純損失は、3で残った山林所得の黒字から控除し、次に退職所得から控除する。
- 3の計算でも残った山林所得の純損失は、2の計算で残った黒字から控除する。それでも純損失が残った場合は、4の計算後の退職所得の黒字から控除する。
※複数年にわたって純損失がある場合は、一番古い年分の純損失から控除する。
純損失が出た年に青色申告でなかった場合でも、繰越控除できるものがある(所法70②)
- 被災事業用資産の損失の金額であること
- その純損失は、確定申告書を提出する前の3年以内に発生したものであること。
- 純損失が発生して以降、毎年確定申告書を提出していること。
この条件を満たすと↓
3年前の純損失を今年の黒字と相殺できる!
「被災事業用資産の損失の金額」とは?↓
- たな卸資産
- 不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産
- 山林
について発生した、
- 資産の災害による損失の金額
- 資産が災害で滅失したり壊れたりした場合の、取壊し費用など
- 災害でその資産が事業で使えなくなった場合に、障害物をのぞいたり修繕するための費用など
- 資産に被害が拡大することを防止するための費用など
の金額のことです。ただし、保険金や損害賠償金で補填される部分は差し引きます。
なお、計算順序は、「純損失の繰越控除」と同じです。
【編集後記】
昨日は毎日のブログ更新。
午後からはインボイス制度の要点まとめ続き。