売り物を自分で使ってしまった場合orタダであげてしまった場合

所得税の計算上、収入金額、つまり売上は「お客様」に対して商品を販売した場合に発生するものです。ただし、例外もあるということ。

条文を押さえる(所法39,40)

①居住者がたな卸資産を家事のために消費した場合、消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の総収入金額に算入する。(若干省略)

贈与、著しく低い価額での譲渡により、居住者の有するたな卸資産の移転があった場合には、次の金額を総収入金額に算入する。(若干省略)

贈与→贈与の時のたな卸資産の価額

著しく低い価額での譲渡→たな卸資産の価額と実質的に贈与したと考えられる金額の差額

要は・・・、

①→売り物を自分で使った場合は、「自分自身に対して販売した」と考えるということ。

②→売り物をタダであげちゃった場合、定価で売ったとして売上の計算をする、ということ。

③→売り物をめちゃくちゃ安く売った場合、売った値段と定価の差額を売上プラスして計算する、ということ。

自分で使っちゃった場合(自家消費)

・言葉を整理する

「たな卸資産」とは・・・事業に関する商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵している消耗品、など。完成した製品だけではなく、製造途中のもの、買ったばかりの材料なども入って来ることに注意。(所令86にも気を付ける)

※実は、サービス業は入ってこないのです。たな卸資産がないはずのため。例えば、税理士である私が、自分の分の申告書を作っても、「たな卸資産の家事のための消費」にはならないということ。

「資産の価額」とは(所基通39-1、39-2)・・・通常他に販売する価額のこと。要は、売り値。つけてる値札の金額。

ただし、売り値を売上としてつけていなくても、「仕入れた金額以上で、売り値の70%以上の金額」を売上としてつけていればOKという特別ルールあり。

・つまり、仕入れてきた商品を自分が個人的に使ってしまった場合、自分自身に対して売上を立てること。(仕訳は、事業主貸/売上)

商品を他の人に贈与したor著しく低い値段で売った場合

・言葉の整理

「贈与」→タダであげた。

「著しく低い値段」(所基通40-2)→売り値の70%未満。どちらかを満たした場合。

・商品をタダであげた場合→仕入れたときの値段以上で、かつ、売り値の70%以上の金額で売上にすること。(特別ルール)(仕訳は、事業主貸/売上)

・商品を著しく低い値段で売った場合→売り値の70%の金額と実際に売った値段との差額を売上にプラスする。(所基通40-3)(仕訳は、事業主貸/売上)

※「著しく低い値段」で売っていた場合でも、商品の型崩れ、流行遅れなどによって値引販売が行われることが通常である場合など、実際に売った値段でOK。

【編集後記】

今日の記事は、自分で調べていて頭痛が。このあたり、場合分けを丁寧にして理解するしかないでしょう。というか、商品をタダであげたり、大きな割引きをするというのは、通常あり得るのだろうかと思いつつ。もし、そういったことがあれば、特殊な経理をすると思っておけばいいんでしょう。

それでは、昨日の活動記録。

毎日のブログ更新後、午後はオンラインセミナー受講。

夕方からは登録時研修。最後のコマ。

夜は本の整理。