どうやって税法を読み込むか

税金の仕事をしていると、「これ、どうやって扱えばいいんだっけ」となることはよくあります。

税務署で税務調査の仕事をしていたとしても、税制のすべてを理解できている、というわけではありません。

税金計算のルール=法律!

税金について調べる必要がある場合、どうするか。

  1. ネットで調べる
  2. 専門書、公開情報を読む
  3. 法律にあたる
  4. 知っている人に聞く

といったところでしょうか。

前提として、税金計算のルールは、所得税法とか、消費税法など法律に書いてあります。ですので、本来、法律を読んで疑問点を解決することがスジ。でも、後で書きますが税金の法律はとにかく難解悪文。さすがにハードルが高すぎます。

そこで、この1~4の順番に沿って、私なら検討していきます。

ネットでとりあえず検索して、方向性の「あたり」をつける。でも、ネットで調べた情報は「個人の見解」だったり、そもそも「古い」情報もあったりするのでそのまま信じることは危険。

次に専門書を読み込む。書物という形で世に出てきている以上、ある程度信頼性は担保されています。併せて、公開情報も調べておきたいところ。国税庁が出している情報なども見ておくと、精度は高まります。

ここまでやっておくと、大抵は解決するはず。

ただ、ここまでやっても分からないケースというものは出てくるもの。こういう場合は、覚悟をして法律を当たります。

そして最悪、どうしようもなければ、報酬を支払って「わかる人に聞く」ということも大切。

どうして税金の法律は読みづらいのか

  • 原則→例外→例外の例外

こういうことは本当によくある。原則的なルールを決めておきながら、その例外を定める。さらに、例外の中にさらに例外を決める。

そのために「かっこ書き」を条文の中に多用します。かっこ書きの中にさらにかっこ書きがあることも普通です。途中で読むことをあきらめたくなります。

  • 複雑な体系

税金の法律は、「法律」だけを読んでいても計算はできません。所得税法や消費税法に書いてあるのは「ふわっとした」ルールだけ。具体的な計算のルールは、別のモノに書いてあります。

所得税法や消費税法を読んでいると、よくある表現が

「政令で定める」とか、「財務省令で定める」。

これ、最初の方は「施行令」、後のものは「施行規則」と呼ばれるモノに書いてあるということ。細かい具体的な内容ほど、本体の法律の書いていないのです。

さらに、「通達」などと呼ばれるものもあり、「法律に書いてある文言の意味はこういうことです」と、国税庁が国税調査官に対して法律の読み方を指導しているようなものまであり、場合によってはこのあたりまで読み込んでおく必要があります。

(他にも「告示」とか、「質疑応答事例」とか、最近多い「Q&A」とか。)

法律をどうやってたどるか

初学者にとって、この複雑な体系が鬼門になることも多いでしょう。

法律をたどるポイントとしては、

  1. 何を調べるのか明確にしておくこと
  2. かっこ書きはいったん読み飛ばして、大まかな意味を読み取ること
  3. 「法律→政令→規則→通達」という体系を守って読み解く

というところ。

1番について、これが大事なもので、税金の法律はあまりにも文章構成が複雑なので、頭からきちんと読んでいくとかえって何を調べるつもりだったのか迷子になります。

その上で2番、かっこ書きは飛ばして読みましょう。かっこ書きを無視すれば、意外とわかりやすいものです。大まかな意味を読み取って、自分が知りたいものがどこに書いてあるのかを見抜きましょう。

そして3番。この順番通りに法律をたどっていくこと。

ここまですれば、大体は疑問は解決すると思われます。

もし、ここまでしてもやっぱりわからない、ということであれば、同業の詳しい人に聞いてしまいましょう。(法律なんか読んでいられないという方も・・・)

【編集後記】

これは「訓練」です。最初はわからなくても、何度か読み解くうちにだんだん慣れてくるもの。私も、最初から読めていたわけではなく、国税時代の研修所やそれこそ税務調査の現場で必要に駆られて読んでいるうちにできるようになりました。こういう経験が、多少なりとも税金の世界に入ったばかりの方の役に立てば。

さて、昨日は朝一のブログ更新と事務所ホームページのコラム掲載。

午後から近所の家電量販店に行ってアイテムを購入。歩いて行けるところに家電量販店があるの助かる。

買った家電の動作を見ながら、消費税の調べ物。インボイスがらみで。調べてみて、とりあえず、とある業界のケアはできているのかと感心した。

夜は信長の野望。東海甲信越に領土を一気に広げたので、チマチマ内政。伊達がちょっかいかけてくるのがうっとうしいなと思いながら、ガマンガマン。