法人税の初学者がつまずくところ~別表四「当期利益」~
国税職員に採用された後、法人税担当に異動したときまず最初に勉強したことが法人税申告書の作り方でした。
ん?世界が違う・・・
法人税担当に異動する前は、税務署の窓口に出たり、提出された申告書を機械で読み込ませたり、そういうバックヤードの仕事を主にしていました。
窓口に出ているときには、所得税の還付申告を提出しに来た納税者の方の対応をしていましたので、所得税の申告書はすぐに見慣れました。所得税の申告書は、作り自体はシンプルですので。
一方、提出された法人税の申告を見ることもありましたが、別表16とか、多すぎだろと。所得税なんて、せいぜい第三表までだぞと(たまに第四表とか)。
法人税の申告は、中身を見てもサッパリです。何をしているのかわからない。その法人税担当に異動することになり、慌てて申告書の書き方について、書籍を買いに行きました。
(自分で法人税担当に異動する人事希望を出してはいたものの、当時の国税の職場の人事異動予告は異動日の一週間前になされる慣例でした。)
疑問点:法人税計算のスタートができない
法人税の計算は、主として別表四と別表五を用いて行います。
この二つの別表を使って、「課税対象所得」を算出し、課税対象所得を別表一に持って来て法人税率をかけて法人税額を算出する。
おおざっぱに言うとこんな感じです。
さて、課税対処所得の計算のスタートは、「当期利益」の金額。この当期利益の金額は、決算書の税引後当期純利益から持ってくると。
それで、決算書を見ると、税引前当期純利益の金額まではできている。で、税引後当期純利益にするためには法人税などの金額が必要と。
どういう状態か?法人税の計算をするためには税引後当期純利益の金額が必要ですが、その税引後当期純利益の金額を出すためには税引前当期純利益から法人税を差し引く必要があると・・・。
そもそも法人税の計算がスタートできない?
ポイントは「仮」計算
ここの理解が初学者にはなかなか難しいところ。
手順としては、法人税を出すために、とりあえず税引前当期純利益の金額をスタートに仮計算をしましょう。
例えば、
- 税引前当期純利益 100,000円
- 法人税率 20%
としましょう。
この場合、法人税はいくらになりますか?何事もなければ、この100,000円が課税対象所得となり、法人税の金額は
100,000円×20%=20,000円
となります。
計算した法人税を決算書に持っていきましょう。そうすると、税引後当期純利益の金額は80,000円となります。
決算書のイメージとしては、
税引前当期純利益 100,000円
法人税 20,000円
税引後当期純利益 80,000円
はい、ここでやっと計算できました。「税引後当期純利益」80,000円
この80,000円を、改めて別表四の「当期利益」のところに書き入れます。
80,000円をスタートに計算すれば、法人税の金額が違ってくるように思えます。
大丈夫です。
法人税の世界のルールで、法人税を費用にした場合は、別表四で課税対象所得に足し算することになっています。(法人税の計算上、費用として認めないということです。)
ですので、課税対象所得としては、
税引後当期純利益80,00円+法人税20,000円=課税対象所得100,000円
課税対象所得が仮計算の時と同じになりましたね?
とすると、算出される法人税の金額も仮計算と同じ金額になります。
【編集後記】
本当はもっとヤヤコシイのですが、最初の部分でつまずくと後工程が全部頭に入らなくなると思いますので(自分がこのタイプ)、ものすごく簡略化して説明しました。
ただ、ここの疑問点が腹落ちするとおおむね大丈夫だと思います。(後は別表五との連動のあたりか・・・)
会計処理のカタチはどうあれ、費用にした税金が法人税別表でうまく調整されて税金の計算結果は変わらないので。
さて、昨日は朝一のブログ更新。
午後からは事務所ホームページのコラム掲載と、単発相談の仕事内容の整理。
夜は信長の野望。最近領土にした中国四国地方に家臣を配置して内政は委任。領国が広がって、全部はできないので。大まかな指示だけ出しておいてたまに軌道を修正すると。
飛騨・美濃を制圧したところで、ついに朝廷より「征夷大将軍」の宣下。ここでゲームを終わってもいいけど、各地に抵抗している大名もいるのでもう少しだけ続ける。