雑損控除~災害などで家財に被害が出たとき~

自分の家財に災害などで被害が出たとき、税金の負担を減らす制度があります。それが「雑損控除」です。

雑損控除の仕組み(所法72①)

  • 自分と配偶者その他の親族が持っている資産に対して
  • 災害・盗難・横領による損失があった場合

→一定の金額を所得の金額から差し引く。

<言葉の整理>

  • 配偶者その他の親族

→総所得金額、退職所得金額、山林所得金額の合計が48万円以下に限定。給料しか収入がない場合、103万円以下。

  • 「資産」は何でもいいのか?

生活に通常必要でない資産と事業用資産は対象外です。

「生活に通常必要でない資産」=①競走馬など射こう的行為の手段となるもの②自分や配偶者その他の親族が住んでいない家屋で、趣味・娯楽・保養・観賞のために持っているもの③貴金属・書画骨董で1個30万円を超えるもの

※生活に通常必要でない資産→所法62で、事業用資産は所法70③で別途損失に関する計算あり。

  • 損失はどの範囲まで認められるのか
  1. 災害により資産が滅失したり壊れたりした場合の、資産の取壊しや除去のために支払う費用
  2. 災害により資産が壊れたり価値が減少したために使えなくなった場合、災害がやんだ日の翌日から1年以内に支払う障害物を除去したり、原状回復するためだったり、壊れるのを防止するための費用
  3. 災害により被害の拡大を防止するために、緊急に必要な措置を講ずるための費用
  4. 盗難・横領による損失があった資産の原状回復のために支払う費用

というものまで「損失」の範囲になります。なお、この1~3の費用を「災害関連支出」といいます。

※保険金や損害賠償金で補填される部分は差し引きます。

計算方法

  • 災害関連支出が5万円以下の場合→損失の金額-(総所得金額+退職所得金額+山林所得金額)の10%分の金額。
  • 災害関連支出が5万円を超える場合→損失の金額から次の1,2の低い方の金額を差し引く。
  1. 損失の金額-(災害関連支出-5万円)
  2. (総所得金額+退職所得金額+山林所得金額)の10%分の金額
  • 損失のすべてが災害関連支出の場合→損失の金額から次の1,2の低い方の金額を差し引く。
  1. 5万円
  2. (総所得金額+退職所得金額+山林所得金額)の10%分の金額

ここで計算された金額が「雑損控除」として、所得金額から差し引くことができます。

控除しきれない金額が出てしまったら?(所法71)

もし引ききれなかった損失があっても、毎年確定申告書を提出することが条件に3年間なら繰り越して控除が使えます

計算方法は、↓

  • 損失が複数年分出た場合は、一番古い損失から使う。
  • その年の、損益通算と純損失の繰越控除を使ってから、初めて使える。

ということに注意です。

(参考)純損失の繰越控除~損益通算をしても赤字が残ったら?~

【編集後記】

昨日は毎日のブログ更新。

午後はセミナー動画視聴。

夜はオンラインセミナーに参加。税理士の懲戒事例について。