税務署の調査官は「売上」の何を見ているのか
税務調査で法人さんに伺ったとき、大体のパターンとしてまずは売上から確認していくことが多いです。
「何を」見ているのか
「期ずれ」と言われているもの。小難しく言うと、期間損益を見ています。今期の売上に計上するべきものが、翌期の売上になっているのではないか、ということです。
華々しく売上の意図的除外、何ていうものを最初から狙っていければいいのですが・・・。
まずは、売上自体が期間損益を守って帳簿に計上できているのかを確認します。
ここがそもそも目茶苦茶では、先に進めません。税金をごまかしているんじゃないか、という話の前にまずは基本的なルールを納税者にご理解いただくことが優先となります。
「いつ」売上になりますか?
というお話を、まずは社長さんにお聞きします。
建設業、小売業、サービス業、色んな業種業態がありますので、
- 「モノ」である商品を宅配業者に渡した分まで請求書が出せる
- 工事の完了がお客さんから確認してもらえたら請求書が出せる
- 保守作業が期間分終わったら請求書が出せる
と、様々なパターンがあります。
会社内部の事務手続をきちんと社長さん、あるいは経理担当の社員の方から聞き取って理解します。
ここから帳簿や請求書を見る
税務署の調査では、初日の午前中は社長さんから事業内容や社内の事務手続についてヒアリングをしています。
そのため、順調にいけば調査初日の午後から取り掛かることが多いです。
調査官として確認すべきは、
- 午前中にヒアリングした売上の計上するタイミングとおりに、売上が帳簿に書いてあるのか
ということ。
特に、会社の期末近くの取引を重点的に見ています。
今期の売上にしなければいけないものがモレているなら、期末近くの取引をチェックした方が効率が良いからです。
売上がモレがちなパターンとしては、
翌期首の最初の売上の請求書の中身に、
今期分の売上と思しき内容の取引が記載されている
場合です。
ただ。こういう間違いは、税理士の方でも確認していることが多いので、実際に間違うようなことはあまりありません。
それに、調査官も、帳簿と請求書を単純に突き合わせてチェックしているだけではありません。
もう一段階踏み込んで、例えば、
- 商品を発送したら売上になる場合→宅配業者の配送票
- 工事完了日に売上になる場合→工事の出面帳など、工事現場の動きがわかる資料
- 保守作業の期間分で売上計上→契約書などで保守作業の始まった時と終った時を確認
など、帳簿と請求書以外の社内の資料を確認して売上の調査を進めます。そうすると、期末に売上にすべき取引のモレが見つかることがあります。
税務調査の現場では、このような請求書以外の資料を確認することも多いのです。
【編集後記】
調査官時代は、なかなか苦労しました。請求書と帳簿を突き合わせて調査をしているつもりだったので。
というか、「こういうビジネスモデルなら、こういう書類を社内で作って事業の管理をしているだろう」と想像してヒアリングすること自体、経験が必要ですからね。
最初は想像自体ができないので、取引の中身を細かく質問することでカバーする。
社長さんも、別に税務調査に協力しないわけではなく、
- そもそも請求書以外の社内資料が調査に必要と思っていないからわざわざ用意していない。
- 調査官から依頼されたら提出するつもりだったけど、そもそも調査官から依頼されなかった。
というところも多いのでしょう。
ここを踏み込んで提出を依頼できるかどうか。質問の仕方も、勉強です。
さて、昨日は朝一から散髪に行ってスーパー銭湯に。
帰宅後、ブログ更新と事務所ホームページのコラム掲載。