税務調査のとき、何を押さえるのか

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日の記事は、税務調査。「何を」押さえればよいのか、調査官の視点で。

調査は臨場後が大事

今年の定期人事異動も終わったころですね。初めて税務調査に臨む調査官もたくさんいるでしょう。

私も初めて税務調査を担当したのは、もう十年以上前になりますが、感じたのは納税者の事務所への臨場が終わってからが大変だったなということ。

臨場時に、調査先の代表者・税理士と調査の修正項目について合意しても、その後で税務署内で審理担当のチェックがあります。

ここで、本当に修正する必要があるのか、証拠資料をきっちり確認されます。この確認のときに、証拠資料が足りないと、「やり直し」と突き返されるのです。

何を押さえておけばいいのか(主に法人税で)

税務調査は、納税者が提出した申告書が税法にのっとって作られているのかを確認する作業です。

作業の手順としては、

事実認定→法令解釈→あてはめ

という順番で行います。

難しく考える必要はありません。

だって、一番大切なのは最初の「事実認定」なのですから。

法令解釈については、法人税の場合は22条しかほとんど使いませんので最初のうちは気にする必要はありません。

事実認定、要は、相手が税金の計算を間違っているという物的証拠を集めることです。

ここをおろそかにすると、先に進めないのです。

具体的には

経費の繰上計上について考えましょう。

期末の消耗品の請求書、納品されたのは翌年だったのでは・・・?という場合です。よくあるパターンです。

まず押さえるのは、「消耗品費が当期に損金に算入されていること」ですね。

当たり前ですが、当期の損金になっていないのであればそもそも検討する必要はないのです。

当期の損金になっているというのは、何を押さえればわかりますか?

まず、総勘定元帳などの「帳簿」です。

期末近くの帳簿を見てみて、消耗品費に計上されているのか。

そして一応、年度末の決算整理仕訳も見ておきましょう。このタイミングで、消耗品費の計上が取り消されているかもしれません。

帳簿で経費となっていることを確認できれば、次に押さえるべきは法人税申告書の「別表四」です。

帳簿で経費となっていても、別表四で自己否認して加算している可能性もゼロではありません。

納税者に指摘をしても、「それ、法人税申告書で加算してます」と言われてしまったら撃沈ですので。

別表四でも加算されている形跡まで確認してようやく、消耗品費が当期の損金に算入されている、と言えるのです。

さて、ここで終わりではありません。

続いて、「消耗品費の計上は翌期でなければならないこと」を押さえる必要があります。ここまで押さえて初めて調査で指摘ができるのです。

どんな物証が必要ですか?

翌期にその消耗品が届いたこと、という物証が必要ですね。

そのためには、まず請求書を押さえましょう。何かヒントが書いてあるかもしれません。ただ、往々にして請求書だけ見て事実確認が終わることはまずありません。

このような場合は、納税者に質問しましょう。

「この消耗品がいつ届いたのか確認したいので、確認できる資料はないですか」と聞いてしまってもいいと思います。というか、聞かないとわかりませんので。

例えば通販で消耗品を買っていれば、納品時期が確認できるかもしれません。

納品時期がわかる資料を押さえれば、「消耗品の計上は翌期でなければならないこと」は完了です。

ここまで押さえてやっと、納税者に指摘ができます。

あとは、集めた帳簿と、請求書と、納品時期がわかる資料。この3つをセットにして税務署内でチェックを受ければ終了です。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

自分の会計をさばきつつ、インターネット関係の設定を。

一日中雨だった・・・。