決算書の「すう勢」を作る
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、決算書のすう勢を作るということ。
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クライアントのトレンドを見る
「すう勢」とは何か?
決算書の数字を項目ごとに数年分並べた「表」のことです。
すう勢を作ることで、クライアントのトレンドを見ることができるのです。
例えば、
- 売上を見て、上昇傾向にあるのか、停滞しているのか。
- 売上原価を見て、売上の金額との連動を確認するとか。
- 預金残高を見て手元資金の増え方をチェックするとか。
ただただ、ボーっと眺めるだけでもいいです。
そして、3期にこだわらず、それ以上遡っても構いません。
重要なのは、トレンドを掴むことです。
慣れてくれば、決算書の数字だけではなく、「比率」を加えても面白いですよ。
前期比だけではなく、原価率・利益率と言った指標をすう勢に書き加える。
そうすると、また見える世界が変わります。
売上の金額は連年増加しているのに、利益率が悪いなとか、
売上の金額は変わらないのに、経費率がずいぶん変動しているなとか。
色々と思うところが出てくるでしょう。
「違和感」を探る
作ったすう勢を見て、違和感を覚える部分が出てくるはずです。
そういう違和感を、解消してみましょう。
典型的なパターンとして、売上が増えたのに利益が減ったというもの。
利益が減っていますから、売上が増える以上に経費が増えたのです。
さて、何の経費が増えたのか?
外注費ですか?どの取引相手のものでしょう?
広告宣伝費ですか?おや、初めての取引先ですね?何をしてもらったのか社長に聴いてみましょう。
え、接待交際費ですか?しかも100万円ちょうどで、なおかつ現金払い・・・。さて、どうしたものでしょうか?
損益計算書だけではいけません。
貸借対照表もぜひ見てみましょう。
前受金に長年上がっている会社がありますね。金額も動いていない・・・。売上にしなくていいのでしょうか?
反対に、未払金にずーっと残っているもの。決済の状況は大丈夫でしょうか?または、その取引自体は・・・?
もっと根本的なもの。
外部への貸付金で多額になっているもの。
あるいは、金融機関からの借入金。
なんで毎年同額なの?
この決算書、根本的に大丈夫、とかですね。
こういう専門職としての違和感を徹底的に掘り下げましょう。その先に、とんでもない処理誤りがあったりするものなのです。
早めに気付いたもの勝ち、ですからね。
調査の基本
で、これまで書いてきたすう勢については、税務調査の基本でもあります。
調査に入る前の準備の段階で、どの案件も作成するのです。
新人の調査官だって、一応は作ります。
私が新人の頃も作りました。
「とりあえず3期分のすう勢を作っておけばいいから」と言われ、なんじゃそりゃと思ったものですが笑
ともあれ、このすう勢を調査官たちも見た上で、どこにポイントを置いて調査をするかを考えて来るのです。
その見るポイントも、上に書いたようなこと。
違和感ですね。
この数字は何でこういう風になっているの?と思って、調査に来るのです。
調査官側もやっているのですから、税理士側だってやってもいいですよね。
まぁ、税務調査対策だけではなく、新しいクライアントに関与した時でもいいでしょうね。
このクライアントは今までどんな決算書を作ってきたのか?
正しく会計処理できているのだろうか?
その当年だけ、決算書を眺めても分からない部分が、すう勢を作ると見えてくるのです。
ぜひ、すう勢を作ってみましょう。
決して損はしないと思います。
【編集後記】
昨日は午前中はブログ。
午後から外出。車中で資料整理、分析。