決算書の「すう勢」を作る

2025-05-24

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、決算書のすう勢を作るということ。

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クライアントのトレンドを見る

「すう勢」とは何か?

決算書の数字を項目ごとに数年分並べた「表」のことです。

すう勢を作ることで、クライアントのトレンドを見ることができるのです。

例えば、

  • 売上を見て、上昇傾向にあるのか、停滞しているのか。
  • 売上原価を見て、売上の金額との連動を確認するとか。
  • 預金残高を見て手元資金の増え方をチェックするとか。

ただただ、ボーっと眺めるだけでもいいです。

そして、3期にこだわらず、それ以上遡っても構いません。

重要なのは、トレンドを掴むことです。

慣れてくれば、決算書の数字だけではなく、「比率」を加えても面白いですよ。

前期比だけではなく、原価率・利益率と言った指標をすう勢に書き加える。

そうすると、また見える世界が変わります。

売上の金額は連年増加しているのに、利益率が悪いなとか、

売上の金額は変わらないのに、経費率がずいぶん変動しているなとか。

色々と思うところが出てくるでしょう。

「違和感」を探る

作ったすう勢を見て、違和感を覚える部分が出てくるはずです。

そういう違和感を、解消してみましょう。

典型的なパターンとして、売上が増えたのに利益が減ったというもの。

利益が減っていますから、売上が増える以上に経費が増えたのです。

さて、何の経費が増えたのか?

外注費ですか?どの取引相手のものでしょう?

広告宣伝費ですか?おや、初めての取引先ですね?何をしてもらったのか社長に聴いてみましょう。

え、接待交際費ですか?しかも100万円ちょうどで、なおかつ現金払い・・・。さて、どうしたものでしょうか?

損益計算書だけではいけません。

貸借対照表もぜひ見てみましょう。

前受金に長年上がっている会社がありますね。金額も動いていない・・・。売上にしなくていいのでしょうか?

反対に、未払金にずーっと残っているもの。決済の状況は大丈夫でしょうか?または、その取引自体は・・・?

もっと根本的なもの。

外部への貸付金で多額になっているもの。

あるいは、金融機関からの借入金。

なんで毎年同額なの?

この決算書、根本的に大丈夫、とかですね。

こういう専門職としての違和感を徹底的に掘り下げましょう。その先に、とんでもない処理誤りがあったりするものなのです。

早めに気付いたもの勝ち、ですからね。

調査の基本

で、これまで書いてきたすう勢については、税務調査の基本でもあります。

調査に入る前の準備の段階で、どの案件も作成するのです。

新人の調査官だって、一応は作ります。

私が新人の頃も作りました。

「とりあえず3期分のすう勢を作っておけばいいから」と言われ、なんじゃそりゃと思ったものですが笑

ともあれ、このすう勢を調査官たちも見た上で、どこにポイントを置いて調査をするかを考えて来るのです。

その見るポイントも、上に書いたようなこと。

違和感ですね。

この数字は何でこういう風になっているの?と思って、調査に来るのです。

調査官側もやっているのですから、税理士側だってやってもいいですよね。

まぁ、税務調査対策だけではなく、新しいクライアントに関与した時でもいいでしょうね。

このクライアントは今までどんな決算書を作ってきたのか?

正しく会計処理できているのだろうか?

その当年だけ、決算書を眺めても分からない部分が、すう勢を作ると見えてくるのです。

ぜひ、すう勢を作ってみましょう。

決して損はしないと思います。

【編集後記】

昨日は午前中はブログ。

午後から外出。車中で資料整理、分析。

メモ

Posted by corner-stones