自分の能力をどこまで道具に任せるのか
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、自分の能力をどこまで任せるのか、について。
世の中、便利になった
税理士界隈では「若手」として扱われるようですが、一応生まれ年は昭和です。
なので、
ダイヤル式の電話を使ったこともありますし、
カセットテープに何かを録音したこともありますし、
学生時代の英語の授業では、紙の辞書を使っていました。(これは今も?)
今ではこんな物、わざわざ使いませんので使わなくなったことについて何とも思いませんが、
振り返ると懐かしくなりますね。
アナログからデジタルへ、世の中ずいぶん進歩しましたが、その分、自分の能力が衰えているような気がしています。
顕著な例として、地図。
グーグルマップがないと、出かけることができなくなりました。
グーグルマップに目的にの住所を打ち込んで、そこまでの経路を検索してもらって、その通り行くだけ。
昔の人は、どうしていたんでしょうね?
グーグルマップがダウンすれば、パニックになるでしょう。
待ち合わせ時刻に間に合うように、電車やバスの時刻表をたどって調べて・・・
今更できません。
「使われている」
グーグルマップはただの地図アプリです。
単なるツールのはず。
人間は本来、使う側のはずです。
でも、ここまでグーグルマップに行動を依存していると、もはや使う側だとエラそうに言えるのでしょうか。
グーグルマップの方が立場が上では・・・?
というように、道具やツールに依存して使われてしまっているような物事が増えているような気がします。
地図くらいならいいのですが。
仕事に直接かかわるようなツールだと、モヤモヤしますね。
極端に言うと、パソコン。
パソコンが無いと、一切仕事ができなくなります。
マイクロソフトの各種ソフトもそうです。特に、Excelが消滅すると、困ります。
完全に、パソコン、ひいてはマイクロソフトに依存して仕事をしているわけです。
ただ、人間の歴史を考えると、道具の発展と共に生活水準も上がってきているのは間違いないわけで、
今更石器時代に戻る訳にも行きません。
道具やツールの進歩についても、
自分の人間としての機能を代替してくれている、というくらいに思っている方がいいでしょう。
だって、医療費控除の計算なんて、暗算でできますか?紙に筆算をかいて足し算するとでも?
「脳トレ」としてはいいんでしょうが、遅いし間違えるし、何も良いことが無いです。
この、「計算をする」という人間の能力は、機械にお任せすればいいのです。
「思考する」ことまで任せるのか
生成AIが話題になっていますね。
進歩のスピードがすさまじく、税理士なんて消滅する仕事だ~と言われ続けています。
いずれは税務相談なんかも、やってくれるそうではありますが。
そこまでツールに任せてしまってよいものか。
税制は年々複雑になり、よりにもよって大元の根拠となる税法は人間が読めるようなレベルを超えています。
だから、生成AIの方でチャチャッと複雑な税法を調べてまとめてくれると助かるのですが・・・。
そこまで依存してしまうと、税理士としてのアイデンティティが失われてしまうような気がします。
最低限、AIの言うことを批判的に検証する能力は自分自身に残しておかないと、いけないのかなと。
物事を調べて整理して検証する、という「思考」という機能まで道具に任せてしまうのでは、
人間には何が残るのかと、ふと思います。
これからは、税務論点についてディスカッションしているときに、AIの回答をソースとして持ち出されるような場面が増えそうで。
お互いに自分の都合のいいAIの回答を繰り出しながら議論をする。
で、あげくは人間なんて議論の場に不要となり、お互いのAIだけでディスカッションをするようになる。
いずれは税務調査も、納税者側のAIと調査官側のAIで経費なるかどうかの議論をするようになるとかならないとか。
非常に滑稽ですね。人間なんて、いりませんね笑
なんだかグッタリしますが、私自身、まだまだ「思考」という能力まで手放すわけにはいきません。
私も古い人間になった、ということで。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
お昼を早めに済ませて神田に出張。
クライアントの事務所で確定申告作成の打ち合わせを夕方まで。
打ち合わせを終えて、夕食を済ませて帰宅。