特定支出控除~給与所得者でも、経費が認められる場合~
今日は特定支出控除について解説。もしかすると、所得税が安くなるかもしれません。
給料の税金の計算は・・・
会社から支給された給料の金額から「給与所得控除」というものを差し引いて、税金の計算をします。(→参考「条文で見る 給与所得」)
ここが、個人事業主と違うところで。
個人事業主の場合は、「収入の金額-必要経費」で税金の計算をします。この必要経費、実際に使った分を計算します。確定申告の際に、請求書や領収書を集めて計算して、と手数がかかります。
では、「給与所得控除」はどうなのかというと、計算式が決まっていて、自動的に計算されます。実際に、いくら経費を使っているかに関係なく、自動的に決まります。
そのため、「実際に使っている分を、給与所得者も経費として計算できるようにする」ということで、「特定支出控除」の制度が始まりました。
何の経費なら認められるの?(特定支出)(所法57の2)
- 通勤費・・・通勤のために必要な交通機関の利用または自動車などの使用のための支払い。(飛行機はダメ)
- 職務で使う旅費・・・働く場所を離れて仕事を行うために直接必要な出張のための支払い。
- 転居費・・・転任に伴うもので、転任の日以後1年以内にする転居のための自分や配偶者その他の親族に関する支払い。
- 研修費・・・仕事を遂行するために直接必要な技術または知識を習得することを目的として受講する研修に対する支払い。
- 資格取得費・・・資格を取得するための支払いで、仕事の遂行に直接必要なもの。
- 帰宅旅費・・・転任に伴って配偶者やお子さんと別居することになった方が、帰宅する場合に発生する旅費。
- 勤務必要経費・・・仕事の遂行に直接必要な、図書費・衣服費・交際費等。(合計で65万円以内)
<注意事項>
- それぞれの支払いについて、会社からの「証明」が必要です。(「特定支出に関する証明書」といいます。)
- 確定申告する際には、「特定支出控除の制度を適用を受ける」ことを申告書用紙の第二表に記載し、「証明書」を添付する必要があります。あと、領収証も提出or申告時に提示することになります。
- 支払いについて、会社から補填される部分があって、所得税がかからないものは対象外です。あと、教育訓練給付金や母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分も対象外です。かなり狭き門です。
実際の計算は?
特定支出の金額と給与所得控除を半分にした金額を比べて、特定支出の金額が超えた場合は、その超えた部分の金額。
計算式=給与の収入金額-給与所得控除-(特定支出の合計-給与所得控除×1/2)=給与所得
超えた部分の金額を、給与所得控除にプラスして給料から差し引ける、ということです。
- 計算例 給料の金額:400万円の場合
給与所得控除→124万円
ということは、特定支出の合計が124万円の半分、62万円を超える場合に、ようやく使えるということです。
これはあくまで計算例ですが、金額面でかなり高いハードルだなと感じます。
ただ、制度はある以上、該当すれば使っていけばいいので、こういう制度があるということは頭に置いておいても損ではないように思います。
【編集後記】
昨日は毎日のブログ更新。
午後からは自分の経理と月次決算。