たな卸資産の値段について

前回の記事で、たな卸資産を年末にチェックする理由について説明しました。

今回は、たな卸資産の単価について。

期末(年末)時点で、たな卸資産の単価はどうなるか

「一品物を仕入れて販売する」というビジネスモデルだと、買った時の単価で計算して決算書に載せればいい、ということでいいでしょう。

ただ、スーパーなど小売店の場合だと、「同じ種類の商品を毎月毎週仕入れて販売する」ということになります。一年間を通して仕入れの単価が同じとは限りません。というより、同じではないでしょう。この場合、年末のたな卸作業でチェックした商品は、何円で決算書に載せるのか?

逐一、仕入れたときの単価を確認して載せなければならないのか、というお話です。(近年では、機械化が進んでいるので可能なんでしょうが・・・)

そこで、税金の世界では、期末のたな卸資産の単価の計算について、ルールを決めています。

計算方法

個別法→仕入れたときの単価をそのまま使う。仕入れから販売まで、個別に商品管理が行われている場合に選べる。(所基通47-1)

先入先出法仕入れた時期が早い商品から順番に売れていったと仮定して、たな卸資産の計算をする方法。期末のたな卸資産の数字は、期末近くの単価を中心に計算される。そのため、期末近くの値段の動きに左右されがち。(年間通しての値上がり値下げは反映しづらい)

総平均法→(年初のたな卸資産の金額+一年間の仕入金額)÷(年初のたな卸資産の個数+一年間の仕入れ個数)を年末時点の単価として計算する方法。一年間の平均的な単価がわかる。

移動平均法商品を仕入れる都度、(その時点のたな卸資産の金額+仕入れた商品の金額)÷(その時点のたな卸資産の個数+仕入れた商品の個数)で計算し、たな卸資産の単価を計算する方法。手間。

最終仕入原価法一年間を通して最後に仕入れた商品の単価を使って、たな卸資産の金額を計算する方法。

売価還元法→通常の販売価額に原価率をかけて計算する方法。

計算方法を変更したい、というか選んでいただろうか(所法101)

  • 変更はいつまでできるのか→変更しようとする年の3月15日まで。つまり、2023年12月の評価方法を変える場合は、2023年3月15日までに行うということ。年末になって変えようと思っても、できません。
  • 変更の手続きは→税務署に「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を提出。ただし、前に採用した計算方法を3年間続けて使っていない場合は、却下される可能性あり。(所基通47-16の2)ちなみに、12月31日までに承認or却下の通知がない場合、承認があったとみなしていい。
  • 計算方法を選んだ覚えがないが・・・→税務署にたな卸資産の計算方法を届け出ていない場合、最終仕入原価法で計算することに自動的になっています

【編集後記】

昨日は毎日のブログ更新。

午後からは週末の対談イベントの打ち合わせ。夕方からは近所の図書館へ。

夜は本の整理をし、就寝。