頭が痛い「控除できなかった消費税」をやさしく理解!

消費税の計算について、複雑になる要因の一つが「控除できなかった消費税」の存在です。

国税職員時代も、コレの計算に相当悩まされました。

おさらい:消費税の計算

消費税の計算は、

お客様からもらった消費税から、仕入先や取引先に払った消費税を差し引いて計算します。

計算式にするとこんな感じです。

「売上にかかった消費税ー仕入・経費にかかった消費税」

一番シンプルなパターンです。

「仕入・経費にかかった消費税」を全部引けないケースがある?

あるんです。

  • 消費税がかかった売上と輸出の売上の合計が5億円を超える場合(5億円ちょうどは含みません)
  • 課税売上割合が95%未満である場合(95%ちょうどは含みません)

このどちらかにあてはまると、仕入・経費にかかった消費税の全額を引けなくなってしまうんです。

※ちなみに、課税売上割合の計算は

→(消費税がかかった売上+輸出売上)÷(消費税がかかった売上+輸出売上+消費税が非課税となる売上)

それでは、実際に計算してみましょう。

  • 売上にかかった消費税→100万円
  • 仕入・経費にかかった消費税→80万円
  • 課税売上割合→90%

以上の条件で考えてみます。

売上にかかった消費税100万円-(仕入・経費にかかった消費税80万円×課税売上割合90%

=100万円-72万円=28万円→税務署へ納税

仕入・経費にかかった消費税のうち8万円が計算の結果、引けなくなってしまいました・・・。

ちなみに、消費税が全額差し引ける計算の場合は、

売上にかかった消費税100万円-仕入・経費にかかった消費税80万円=20万円→税務署へ納税

となります。


<ちょっと難しい話>

上に書いた、「控除できなかった消費税」の計算方法ですが、計算方法は2通りあります。

一つは、上で計算した仕入・経費にかかった消費税に課税売上割合を掛け算して計算する方法。これを、「一括比例配分方式」と呼んでいます。

二つめの計算方法。

まず、仕入・経費にかかった消費税を以下の3つに分類します。

  1. 消費税がかかる売上に必要だったもの
  2. 消費税が非課税となる売上に必要だったもの
  3. 消費税がかかる売上と非課税となる売上の両方に必要だったもの

そのうえで、消費税の計算は、

売上にかかった消費税-1+3×課税売上割合

で行います。この方法を、「個別対応方式」と呼んでいます。


最後はどうなるの?

最終的には費用になります。

ということは、「控除できなかった消費税」の数字が何らかの原因で動いた場合、費用の金額が変わるということです。

費用の金額が変わるということは、税金の金額が変わるということ・・・。

ココが、頭が痛くなる最たる要因なのです。

税務調査の現場で、例えば、

  • 消費税がかかる売上の金額が間違っていた→課税売上割合の%が動く!→「控除できなかった消費税」が変わる!
  • 消費税がかかる仕入・経費の金額が間違っていた→「控除できなかった消費税」の基の数字が変わる!

となってしまうのです。

【編集後記】

「控除できなかった消費税」、いわゆる控除対象外消費税ですね。

これの計算は本当に頭が痛い。

もちろん、国税局内部で手計算で行うことはありません。計算用のシステムがありますから。

ただ、会社さんとの数字の打ち合わせのときに、控除対象外消費税の金額が「1円」合わない、ということがよくあります。

この「1円」の差額を埋めるのにまた労力が・・・。

さて、昨日は朝一のブログ更新。

午後から駅前に歩いて出かけて、本屋で仕入。Googleさんについて。

夜は信長の野望。北部九州の内政を進めつつ、安芸の毛利を吸収。