貸借対照表の壁
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日はBS、貸借対照表についてのお話。
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青色申告の壁
個人事業主の皆さんの中には、青色申告で毎年所得税を計算している方もいらっしゃるでしょう。
青色申告、色んな特典がありますね。
30万円未満の消耗品はその年に経費にできたり、
家族を事業に雇って給料を払ったら経費にできたり、
赤字になっても翌年以降に繰り越せたり。
でも一番は、青色申告特別控除ではないでしょうか。
最大で65万円もの金額を、その年の利益から差し引けるというもの。
ただ・・・。
私がお会いしたクライアントさんの場合、この最大65万円の控除を使えていない方が多いのです。
それは何故なのか?
65万円の控除を受けるためには、いくつか条件があります。
その一つが、貸借対照表の作成。業界では「ビーエス」と呼ばれています。
「毎年、売上と経費を自分で集計しているがそれとは違うのか?」
と質問を受けることがありますが、はい、それとは違うものです。
この貸借対照表の作成が、青色申告のカベとなっているように思うのです。
貸借対照表の作成には会計知識が必要
売上や経費を集計して作成する書類は、損益計算書と呼ばれているもの。
正に名前の通り、事業の損益を計算するための書類です。
では、貸借対照表とは何か?
事業にかかわる資産や負債がどれだけあるのか。これが書いてあるのです。
事業にかかわる資産、と言われてもピンと来ないかもしれませんね。
「売掛金」「未収入金」と呼ばれているものがそうです。
逆に事業にかかわる負債とは何でしょうか。借金のことだけではありません。
「買掛金」「未払費用」と呼ばれているものがそうです。
売掛金・未収入金とは何のことでしょうか?
自分がクライアントに対して仕事をして請求書を出した。でも、入金はまだされていない状態である。
つまり、未来にこれだけお金がもらえますよ、ということですね。
実際にお金をもらえていなくても、近いうちにいくらお金が入って来るのか、事業資産として貸借対照表に載せてくださいねということ。
買掛金・未払費用はこの逆の考え。
自分が消耗品を買ったり仕事をお願いして、請求書が手元に届いた。でも、支払はこれからである。
つまり、未来にこれだけお金を支払うことになる、ということですね。
実際にお金をもらえていなくても、近いうちにいくらお金を支払うことになるのか、事業負債として貸借対照表に載せてくださいねということ。
で、これは何をしているのかというと、
発生主義会計
で計算をしてください、ということなのです。
発生主義というカベを乗り越える
「売上も経費も、実際にお金が出入りしたときで計算してました。」
これは、現金主義会計というものですね。
発生主義会計とは、
取引が発生したタイミングで、売上や経費を計算する
というもの。
この発生主義でないと、貸借対照表は正確に作ることができず、結果として最大65万円の青色申告特別控除を受けることはできなくなります。
これは、会計ソフトを導入すれば解決するものではありません。
会計ソフトに正しく入力しないと、正しい内容の貸借対照表は完成しないのです。
弊事務所の場合、個人事業主で青色申告を行うクライアント様には、この65万円の控除ができるようにサポートをさせていただいております。
というか、この65万円の控除を受けられないのでは、青色申告にする意味はほとんどないと言ってもいいと考えています。
個人事業主の方には、貸借対照表ひいては発生主義のカベを乗り越えていただき、青色申告の特典をフルに受け取ってもらいたい。
そのように思っています。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からはクライアントの決算作成とか打ち合わせとか近所の図書館。