所得税を計算するときの「収入」について

条文をおさえる(所法36①②)

若干簡略化。

その年の所得の金額を計算するときの、

・収入金額とすべき金額、

・総収入金額に算入すべき金額は、

その年において収入すべき金額とする。

ちょっと違和感があるかもしれません。収入「すべき」って何だよ、と。その年の収入した金額ではないということです。細かい違いですが、ココ重要です。

※「収入金額」「総収入金額」の違いは誤差の範囲と思ってください。

「すべき」について(いつの収入になるのか)

非常に大事な話、かつ、ここ間違えると税務調査の際に指摘されます。

①言葉づかいの違いについて

収入した金額→お金が手元に入ってきたという意味。

収入すべき金額→お金が手元に入って来ることが「確定」したという意味。(実際にはお金が手元になくても)

つまるところ、「自分の銀行口座に売上代金が振り込まれた分だけを確定申告する」というのは、間違いの可能性ありということなのです。

②では、どの取引まで収入にする必要があるのか(所基通36-2~36-14)

というのが気になるところ。このあたり、法律上ではそうなんだろうけど、実際はよくわからないというのが当たり前の反応だと思います。

参考までに、国税庁が通達というものを出していますので少し見てみます。

例えば、

「商品を売って代金をもらう」場合→商品の引渡しがあった日が収入すべき時期になる。

請負契約で取引をしている場合→目的物を相手に納品した日。サービス業の場合は、そのサービスが完了した日がそれぞれ収入すべき時期。

一番わかりやすい商品を売る取引の場合だと、「お客様に商品を渡した日に売上を帳簿に書いてください」ということになります。

え、お金はクレジット払いだからまだもらっていない?・・・お金をもらったかどうかと、収入にするかどうかは別の問題です。

このあたり、会社だと期末近くの取引、個人事業主だと12月の取引は要注意です。商品を納品したけどお金をもらっていない取引や、業務が完了したサービスで代金が振り込まれていないものも、売上として帳簿に書いてくださいね。

(ちなみに、本来帳簿に書くべき売上の時期が後ずれしたことを「期ずれ」なんて言います。調査官時代には売上をちゃんとした時期に帳簿に書いているか、必ずチェックしていました。)

なお、この「いつの売上になるのか」については、あくまで一般論です。個別具体的に自分の場合はどうなるのか、話を聞きたいという場合は、単発相談からご依頼ください。

なぜこんなめんどくさいことを

「お金をもらった日の収入でいいのでは」と、お考えの方もいらっしゃるでしょう。確かに、その方がわかりやすいですよね。

「お金をもらった日」にしてしまうと、実は困った問題が起きます。

一つめ。代金の決済方法で収入の時期がずれてしまうということ。今の時代、代金の支払い方法は種類が増えました。現金払い以外にも、コンビニ払い、クレジット払い、銀行振り込みまで。「お金をもらったとき」だと、同じ取引なのに代金の支払い方法が違うというだけで、売上の日付が変わり、最終的にその年の税金の計算結果まで変わってしまうという問題があります。

二つめ。こういう方がいらっしゃるのかはわかりませんが・・・。お金をもらう時期をお客様と示し合わせて後ずれさせることができてしまうのです。「今年はもうかって税金が出そうだから、お金は来年でいいですよ」とできてしまう。

大きく二つの問題があるので、まぁめんどくさいことをやっているというわけです。

【編集後記】

昨日は市ヶ谷で会合。

ちかくのとんかつ屋で昼食後、帰宅。

ブログ更新をしつつ自分の経理。

夜はと太閤立志伝Ⅴ。石山本願寺を攻略し一息。