消費税を学びなおす42~簡易課税の手続~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、消費税を学びなおす。簡易課税にまつわる手続について。
<参考>
手続は「事前に」
簡易課税を受けようと思ったときは、
簡易課税を受ける課税期間の前までに
税務署に「簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります。
ですので、消費税の申告シミュレーションは慎重に行う必要があります。
今年から簡易課税にしたい、と思ってもできないわけですからね。
ただし、次のような場合は、その課税期間から簡易課税を受けることができます。
- 新しく事業を開業した、会社を設立した
- 免税である個人事業主が、簡易課税を受けていた被相続人から事業を承継した場合
- 一部の組織再編
などです。
まぁ、こんな場合は、「受けたい課税期間の前から届け出を出してね」と言われても物理的に不可能ですから。
届出の効力はいつまで有効?
簡易課税という制度、基準期間の課税売上高が5000万円を超えると使えなくなり、原則的な計算方法で申告することになります。
ということは、5000万円を超えたときに、無効になってるのか・・・?
いえ、そんなことはありません。
基準期間の課税売上高が5000万円以下になった課税期間に、効力が復活し、簡易課税の方法で申告納税することとなるのです。
(※基準期間の課税売上高が1000万円未満になり、免税となった課税期間のときも、無効になったわけではないです。1000万円以上になると復活します。)
とすると、もう簡易課税で計算しないよ、となった場合はどうすればいいのでしょうか?
簡易課税をやめようとする課税期間の前までに、「簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署に提出する必要があります。
ある思い出
私が税務署で働いていたころの話です。
法人から提出された消費税の申告書について、
申告の区分が間違っている
というエラーが出ていました。
内容を確認すると、
「原則的な計算で申告しているが、簡易課税で申告する必要がある」
というもの。
法人のファイルを取り出し、届け出を確認していると、20年近く前に提出された「簡易課税選択届出書」を見つけました。
当該法人、ここしばらくは何年間も課税売上高が5000万円を大きく上回っており、消費税を原則的な計算で申告していました。
ところが、この年の基準期間の課税売上高がたまたま5000万円を下回っていたようなのです。
となりますと、20年前に提出された簡易課税の届出が復活します。
申告内容をチェックすると、簡易課税となった場合は、納税額が大きく増えることに・・・。
顧問税理士に連絡し、申告を修正するように伝え対応していただきましたが、何だか気の毒でした。
ということもありますので、簡易課税については、
もう簡易で計算しないよというときは「不適用」の届出を行うことを忘れずに検討を。
私も税理士となった以上、他人ごとではありませんね。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは、何かと話題のNotionについて下調べ。
後は、税理士会のオンライン研修など。