消費税を学びなおす40~簡易課税、「事業の区分」~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、消費税を学びなおす。簡易課税の「事業の区分」に入ります。
<前回>
簡単?いえ、実はそうではない
簡易課税を使えば、売上にかかった消費税を集計するだけで消費税が申告できる!
とは言ったものの、実際はどうか?
簡易課税のキモは、
仕入率の算定に使う「事業の区分」。
この区分が要注意事項なのです。
「何が?うちは○○業だから、仕入率は○○%でしょ?」
とお思いの事業者さんもいらっしゃるでしょう。
違うのです。
事業の区分は、会社・個人事業主単位で判定するのではありません。
一取引ごとに判定するのです!!
例えば、製造業。仕入率は70%です。
この意味するところは、製造業本体の売上にかかる消費税に対して仕入率70%、ということ。
ですから、製造業で使う機械・自動車を中古で売却したような場合、これは製造業の売上ではないですよね?
なんと売却収入に限って第4種事業に該当するということで、仕入率は60%となります。
ここなのです。
会社の営む事業で判定するわけではないということ。ここを一番ご理解いただきたい。
各種事業の中身
ここでは事業の中身を見ていきましょう。
卸売業(第1種)→他者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業。
ポイントは、売る相手は「他の事業者」であるということ。それから、仕入れた商品に手を加えてはいけません。仕入れたまま販売するということ。
小売業等(第2種)→他社から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで販売する事業で、卸売業以外のもの。
ポイントは、売る相手が消費者であるということ。ここが卸売業と違うところ。また、仕入れた商品に手を加えてはいけません。
製造業等(第3種)→農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業で、第1種・第2種にあてはまらないものが該当します。
ポイントは、「日本標準産業分類」の大分類を参考に判定、ということ。総務省が出していますね。
あと、いわゆる製造小売業、製造問屋もこの製造業等のくくりに入っています。
気を付けたいのは、加工賃を対価として働いている場合。第3種に入れたくなるのですが・・・。
これは以下で紹介する第4種事業という判定になります。
サービス業等(第5種)→情報通信業、郵便業、運輸業、金融業、保険業、物品賃貸業、学術研究、専門・サービス業、宿泊業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉などなど・・・。かつ、第1種・第2種・第3種にあてはまらないもの。
はい、いわゆるサービス業、です。結構範囲が広いのです。
自分がどうなのか、「日本標準産業分類」の大分類を参考に判定、ということは第3種と同じです。
不動産業(第6種)→第1種・第2種・第3種・第5種にあてはまらないもの。かつ、「日本標準産業分類」の大分類に掲げる不動産業をいいます。
その他(第4種)→上に挙げた業種にあてはまらなかった場合。
具体的には、製造業、建設業などのうち、第3種にあてはまらないもの。あと、飲食店業も実は第4種に該当します。
次の話題は?
というところで、どの種別にあてはまる取引なのか、個別の判断が必要なのでした。
そこで気になるのが、
複数の種別が入り混じった年の消費税の申告はどうやって計算するのか?
ということ。
一個一個取引を判定して、それぞれに違う仕入率をかけて計算する・・・。
なかなか頭が痛いです。
実際のところはどうなのか、次回の記事でお話ししたいと思います。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からはクライアントとの面談をまとめ、事務所の月次決算。