消費税を学びなおす34~「たまたま」土地を売る~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は消費税を学びなおす、たまたま土地を売ったとき。


<前回>


持っている土地を売却したいけど・・・

消費税の世界では、土地を売却したお金には消費税はかけられていません。非課税です。

それがいいことかどうかというと、なんとなく消費税がかかっていないので良さそうな雰囲気はあります。

ただし。消費税の難しいところは、収入についての消費税だけを見ていてもダメなのです。

税務署に納める消費税は、収入にかかる消費税から支払いにかかる消費税を差し引いて計算します。

この「支払いにかかる消費税」の計算のとき、消費税が非課税の収入が大きくかかわるのです。

支払いにかかる消費税は、その金額に「課税売上割合」という数値をかけて算出します。

(例外はあります)

この「課税売上割合」、非課税の収入が増えた場合、割合の数値が下がってしまうのです。

課税売上割合が下がった場合、どうなりますか?税務署への消費税の納税が増えることになります。

つまり、土地を売却した年については、消費税の納税が増えることになります。

土地を売ったのが「たまたま」だった場合は

「課税売上割合に準ずる割合」を使うことで、消費税の納税額を減らすことができます。

条件です。

  • 土地の売却が「単発」のものであること。
  • 土地の売却がなかった場合に、事業実態に変動がないと認められること。
  • 過去3年間の課税売上割合の、最も高い割合と最も低い割合の差が5%以内であること。

この条件を満たすと、「準ずる割合」を使って消費税の計算を行うことができます。

では、準ずる割合はどうやって計算するのか?

  • 土地を売却した課税期間の前3年間の課税売上割合を通算した割合
  • 土地を売却した課税期間の前課税期間の課税売上割合

のうち、低い割合を「準ずる割合」とすることになります。

元税務職員からの「お願い」

この「準ずる割合」、使う場合には承認申請書を税務署に提出する必要があります。

提出期限は、準ずる割合を使おうとする課税期間の末日

この上で、末日から1か月以内に税務署から承認を受けた場合に使うことができます。

税務署で承認をする以上、当然審査があります。

各種資料を税務署から求められます。

そして、審査もすぐにできるものではないので、課税期間の末日に出すのではなく、早めに所轄の税務署に準ずる割合の適用を受けたいとご連絡をなされるようお願いします。

ここで少し昔話を。

今でこそ、課税期間の末日から1か月以内に承認を受ければいいことになっています。

私が現役の国税職員だったときは、この承認期限が「適用を受ける課税期間の末日」でした。

制度上、納税者にとっては末日までに提出をすればいいことになっています。

でも、税務署側では?

末日までに審査を行い承認までする必要があります。

課税期間の末日ギリギリに承認申請書を提出された日には、はっきりいって地獄でした。すべての事務をストップして、承認申請書の審査を最優先でこなさなければなりませんでしたので。

こういう、国税側の事情もあって承認期限が伸びたのでしょうか。

ただ、伸びたとはいえ、タイトな審査スケジュールになるでしょうから、「たまたま」土地を売った場合には、早めに当局へご相談いただきたいところではあります。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

お昼からは仕事の記録付け。売上の管理など。