消費税を学びなおす30~非課税となる資産を輸出したときは?~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、少しトリッキーな話を。
<前回>
質問:消費税が非課税の物品を輸出したとき、消費税の計算は?
消費税が非課税となる物品を製造して販売するとしましょう。
この場合、消費税の計算はどうなるのでしょうか。
売上については、消費税は非課税です。
問題は物品の製造に係る仕入や経費。
この仕入や経費自体には、消費税が含まれていることは普通にあり得ます。
そうなると、消費税の計算ではどうなりますか?
仕入・経費にかかる消費税の計算プロセスでは、非課税売上のみに対応する仕入・経費にかかる消費税については消費税の計算に入れてもらえないということになっています。
ということは、非課税売上のみに対応する仕入・経費にかかる消費税は、事実上納税者にとっては「コスト」ということになってしまいます。
この上、その非課税の物品を海外に輸出したらどうなるでしょう。非課税でいいのでしょうか。
「みなし輸出」という取引
そこで特例が設けられました。
非課税となる物品を輸出するときは、輸出取引であることが証明された場合に、何と「輸出免税」扱いになるのです。
こうすればどうなりますか?
非課税物品の製造に関して支払った仕入・経費にかかる消費税については、課税売上対応として消費税の計算に入れてもらえるのです。
しかも、課税売上割合を計算するときにも、輸出免税扱いになると有利になりますから、課税売上と非課税売上の両方に共通する仕入・経費にかかる消費税についても、消費税の計算上有利になるというおまけまでついてきます。
ただし。
これはあくまで輸出取引としてみなされているだけなので・・・。
消費税の申告書では、輸出免税とは違う欄に金額を記載することになっています。(「非課税資産の輸出等の金額」という欄です。)
海外への「移送」取引
海外の取引先に対して、日本国内から商品を輸出した場合は「免税」です。
では、日本から海外の支店へ商品を輸送して、支店から海外の取引先へ商品を販売した場合は?
海外支店への輸送は、そもそも同じ組織内の「取引」ですから消費税は関係ありません。その支店から海外の取引先への販売はどうか?
消費税の対象外です。
双方とも、同じような取引なのに消費税の結果が変わるのはおかしいので、特例が用意されました。
海外の支店に対して商品を移したとき、それが輸出したものと証明されれば、その海外支店への輸送を「輸出免税」とみなすことができるのです。
結果、仕入・経費にかかる消費税については、課税売上対応として消費税の計算に入れてもらえるのです。
課税売上割合の計算で有利に動くのも、「みなし輸出」と同じです。
そして消費税の申告書では、輸出免税とは違う欄に金額を記載することになっています。(「海外支店等へ移送した資産の価額」という欄です。)
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
お昼からお出かけ。人生初の野外ライブに参加。
ライブ時間帯は「雨予報」だったので心配でしたが、結果は降らずに曇りで推移。
気候的にも過ごしやすく、本当にツイてた。