空き家となった相続した家屋土地を売却した場合の特別控除
今日の「譲渡所得の特例」は、相続をした家屋土地で空き家となっているものを売却した場合の特例です。
条件を満たした場合、空き家を売却して出た利益から一定の金額を差し引くことができます。
これまでの「譲渡所得の特例」の記事。
- 譲渡所得の課税の特例
- 優良住宅地の造成地等譲渡
- 居住用財産を売却した場合
- 収用などで資産がとられた場合
- 収用に派生する譲渡所得の特例(3種)
- 特定事業によって土地等が買収されたときの特例
- 居住用財産を売却した場合の特別控除
空き家を売却したときの特例:概要と条件(措法35③)
①相続や遺贈(死因贈与も)によって、②被相続人の住んでいた家屋と敷地等の相続をしたとき、③相続があった日から3年を経過する日の属する12月31日までに一定の売却をした場合は、④売却益の金額から3000万円を差し引く。
条件1.相続や遺贈により、被相続人の住んでいた家屋と敷地等をを入手したとき。
※家屋のみ、敷地のみ入手した場合は空き家の特例は使えません。(措通35-9)
<対象となる家屋>
→相続の開始直前に被相続人が住んでいた家屋で、
①昭和56年5月31日以前に建築されていること。
②いわゆるマンションやビルなど、区分所有建物の登記がされていないこと。
③相続の開始直前に、被相続人以外に住んでいる人がいないこと。
この3条件を満たす家屋である必要があります。
とはいえ・・・、高齢化社会と言われている現代、亡くなるまで自宅で過ごすのではなく、高齢者施設に入所されることも多いと思います。
ですので、相続の開始直前に自宅にいらっしゃらなくても、
- 要介護認定や要支援認定を受けて一定の養護老人ホームや介護施設などに入所している場合
- 障害支援区分の認定を受けていた方で障碍者支援施設などに入所している場合
であれば、入所する直前に住んでいた家屋とその敷地は特例の対象となります。
また、その上で、
- 相続開始まで、被相続人の方の物品の保管のためなどに使われていたこと。
- 相続開始まで、その家屋が事業や貸し付けの対象にされていないこと、被相続人以外の方の自宅になっていないこと。
という条件を満たす必要があります。
条件2.一定期限までの売却で、相続があった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却したこと。
※一定期限=記事執筆時点では令和9年12月31日まで。
条件3.売却額が1億円を超えないこと。
条件4.一定の売却であること。
<家屋を売却する場合>
- 相続したときから売却するまでの間に、事業に使ったり貸し付けたりしていないこと、人が住んでいなかったこと。
- 一定の耐震基準を満たしていること。
<家屋と敷地をセットで売却する場合>
- 相続したときから売却するまでの間に、事業に使ったり貸し付けたりしていないこと、人が住んでいなかったこと。
<相続した家屋を取り壊して、更地を売却する場合>
- 家屋について、相続したときから取り壊しまでの間に、事業に使ったり貸し付けたりしていないこと、人が住んでいなかったこと。
- 敷地について、相続したときから売却するまでの間に、事業に使ったり貸し付けたりしていないこと、人が住んでいなかったこと。
- 敷地について、取り壊したときから売却するまでの間に、建物などの敷地に使われていないこと。
空き家の特例が使えない場合
家屋敷地の売却先が自分の配偶者や親族などである場合は、空き家の特例は適用不可です。
この売却について、所法58、措法33、33の2、33の3、33の4、37、37の4、37の8の特例を使った場合。
一体として住んでいた家屋や敷地を売却する場合の1億円の計算について
ここら辺はかなりややこしいので簡単に。
- 特例を受ける売却をする以前に、相続開始直前にその家屋敷地と一体となって被相続人が住んでいた家屋やその敷地を売却している場合
→両方の売却値段の合計が1億円を超えたら、特例は使えない。
- 特例を受けた売却をした翌年の1月1日から、その売却をした日以後3年を経過する日の属する12月31日までに、相続開始直前にその家屋敷地と一体となって被相続人が住んでいた家屋やその敷地を売却している場合
→両方の売却値段の合計が1億円を超えたら、特例は使えない。
【編集後記】
昨日は毎日のブログ更新。
午後からは昨年の振り返り作業。公務員退職から税理士開業と大きく動いた一年だった。