利子所得の分離課税を読む

昨日は、利子所得について租税特別措置法で分離課税に課税方法が変更されていることを解説しました。→利子所得の特別なルール(租税特別措置法)

とはいえ、条文の字面を読んでも意味がよくわからない部分もあったので、整理したいと思います。

利子所得の「源泉」分離課税(租税特別措置法3)

  • 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が
  • 平成28年1月1日以後に、
  • 国内において支払いを受けるべき
  • 所得税法23条1項に掲げる利子等であること。

→所法23①の中身:公社債の利子、預貯金の利子、合同運用信託の収益の分配、公社債投資信託の収益の分配、公募公社債等運用投資信託の収益の分配

ここにあてはまることが前提。その上でここから、

  • 特定公社債の利子
  • 公社債投資信託で、設定に係る受益権の募集が公募により行われたものの収益の分配
  • 公社債投資信託で、設定に係る受益権が株式等に該当するものの収益の分配
  • 公募公社債等運用投資信託の収益の分配
  • 特定公社債以外の公社債の利子で、支払の確定した日において、その者又はその者と特殊の関係にある法人を判定の基礎となる株主として選定した場合に、公社債の利子を支払いをした法人が同族会社になる場合の利子

を除いたものを「一般利子等」と呼ぶ。

この一般利子等は、他の所得と区分して、支払いを受けるべき金額に15%の所得税をかける。(復興税と住民税は別にかかる)

※所法22=課税標準、所法89=税率、所法165=非居住者の総合課税の課税標準、税率という「取り決めにかかわらず」という文言のため、一般利子等は総合課税から除いているのだろうか。その上で、所法181により源泉徴収の対象になっており、利子の金額自体に15%の源泉徴収をすると書いてあるから、申告書に記載することを想定していないということ?。

上場株式等に係る利子所得の「申告」分離課税(租税特別措置法8の4)

  • 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が
  • 平成28年1月1日以後に、
  • 国内において支払いを受けるべき
  • 所得税法23条1項に掲げる利子等であること。

ここまでは一つ目のブロックと同じ。

ただし、このブロックでは、利子の範囲から「一般利子等」を除外してしまう。その上で対象を、

  • 特定公社債
  • 公募公社債投資信託の受益権
  • 証券投資信託以外の公募投資信託の受益権
  • 一定の特定目的信託の社債的受益権

に限定し、「上場株式等の配当等に係る利子所得」という区割りを設ける。これについては、一つ目のブロックと同じように他の所得と区分して、支払いを受けるべき金額に15%の所得税をかける。(復興税と住民税は別にかかる)

ただし、まだ続く。

租税特別措置法施行令4の2⑧において、所得税法本体の記載ぶりが修正される。その結果、区分された「上場株式等の配当に係る利子所得」の金額と、源泉徴収された金額を申告書に記載することになる、と。

申告不要となる利子所得(租税特別措置法8の5)

申告分離課税という話をしたが、実はまだ終わりではない。

  • 特定公社債
  • 公募公社債投資信託の受益権
  • 証券投資信託以外の公募投資信託の受益権
  • 一定の特定目的信託の社債的受益権

申告分離課税の対象になった4種類の利子は、確定申告書への記載を除外して、申告書を作成してもいいということになっている。

【編集後記】

昨日は毎日のブログ更新。

午後からはインボイスパワポの原稿づくり。