申告を出さないまま・・・でも間に合う?

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、申告を出していない状態、どうするか?

まずは現実を直視する

弊事務所では、顧問契約を結んでいるクライアント以外にも、税務調査の立会いサービスを提供しております。

開業以来、何件かスポットでの調査立会いを行ってまいりましたが、圧倒的に「無申告」の方が多い。

何らかの理由で、事業を行ってきたけど申告を出せていなかった。そこに、税務署から電話がかかってきて、税務調査を実施すると言われてしまった。

こういうケースがほとんどです。

さて、このような「無申告の納税者の下に税務調査がやってきた場合」、どのような現実が待っているのでしょうか・・・?

本来支払うべき税金が発生するのは当然として、以下の各種罰金が科されることとなります。

税務署関係だけで言うと、

  • 無申告加算税
  • 延滞税

という2種類の罰金がかかります。

先に延滞税からお話すると、払うことになる税金に対して%を掛け算して計算することとなり、

理論上は年間で最大14.6%にもなります!

「年間」ですからね。

当然、昔の申告になればなるほど、延滞税の金額は膨れ上がることとなります・・・。

次に無申告加算税

これも、払うことになる税金に対して%を掛け算して計算いたします。

税金に対して15%~20%

さらに上乗せ措置があります。

  • 帳簿を作成していない場合・・・+10%
  • 5年以内に無申告加算税をかけられたことがある場合・・・+10%

ということで、なんと最大で40%ものとんでもない罰金。

この40%という数字は、申告をしなかったことに対して「仮装・隠ぺい」という要はごまかしがあった場合にかかってくる「重加算税」と同じなのです・・・。

税務当局が「無申告」という状態に対して、いかに厳しい姿勢で臨もうとしているのか、よくわかるかと思います。

「調査前」なら、まだ間に合う!

実は抜け穴がありまして・・・。

税務署から連絡があって「調査に行きますよ」と言われる前に、遅れてごめんなさいと申告書を提出した場合は、

無申告加算税は5%で済む可能性があるのです。

請求書や領収書をそろえ、帳簿をきちんと作成し、すみやかに申告書を提出する。

税務署の手を煩わせなかった特典・・・のような気がしないこともないですが、罰金が安くなるならそれにこしたことはありません。

ですから、税務署調査に関係なく無申告の状態を何とかしたいと相談に見えた方には、

「今ならまだ間に合いますよ」とお声がけするようにしています。

ただし。

何でも安くなるわけではありません。

延滞税は変わらずかかってきます。

だからこそ、早め早めに申告をする方がよいのです。

本当に厳しいのは・・・

個人事業主の方の場合だと、所得税の方は割合抑えることが可能ではあります。

税務調査を受けても、例え帳簿の作成をしていなくても、経費の書類をきちんと保管しているなら当然経費として計算することになりますし、申告が遅れても扶養関係などの控除も受けることができます。

また、法人さんの場合では、赤字のご申告となるケースも多いです。まぁ、社長の給料に所得税がかかってきますが、給料は税金の計算上安くなるように設計されていますから、余程の高額の給料でない限り負担はそこまでではないはず。

大きな問題の一つは消費税

分かりやすく言うと、売上に含まれる消費税をそのまま納税することになるのです。

本来の消費税の計算は、売上に含まれる消費税から仕入・経費に含まれる消費税を差し引いた残りを納める仕組み。

この後半の「仕入・経費に含まれる消費税」を差し引くためには、帳簿の作成と書類の保存がマストです。

無申告状態で相談にいらっしゃるクライアントは、帳簿の作成をしていない方がほとんどですから帳簿をきちんと作成すればなんとかなるのですが・・・。

書類を全部捨てているなんていうことだと、税務調査を受けてしまうとかなり厳しい結果になるのです。

一年分で100万円を超える消費税の納税を求められることもあり得ます。

そしてそこに、罰金がかかってくるわけですからね。合計で1000万円を超える可能性もある。

話はここで終わりません。

個人事業主や会社社長について。

税務署に申告書を出して終わりではないのです。

その後、お住いの自治体から住民税と健康保険料の徴収についての連絡がやって来るのです・・・。

(該当業種によっては「事業税」も)

今までは収入を申告していなかったので一番安い金額で徴収されていたかと思いますが、期限後申告を出した関係で再計算された金額を追加徴収されることになるのです。

そしてそこには当然「罰金」もかかります・・・。

さらに追い打ちとして。

これまでは、自治体から低所得者として各種の手当の対象となっていた場合。

申告を出したことで、所得があるということになり、場合によっては手当の返還も要求される可能性も・・・。

何だか、暗い気分になってきましたね。

とにかく、例え税務署関係だけでも納税額を抑えることができたほうが良い、というのが私の見解です。

場合によっては、税務調査前に申告するだけで、数百万円単位で納税額が変わって来ることもあるのです。

申告を出さずに来てしまった方。

まだ間に合ううちに、是非とも行動を起こしましょう。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

お昼前に外出し、近所の神社へお朔日参り。近くで昼食を済ませ帰宅。

一休みしてから、事務所の月次決算の準備。