国際税務を学びなおす7~恒久的施設~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。「恒久的施設」(PE)に入ります。


<前回>


「恒久的施設なければ課税なし」

今日から、「恒久的施設」についてのお話に入ります。

国際税務に関する原則で、

非居住者・外国法人に関しては、国内に恒久的施設がなければ、その事業所得について課税をしない

と、このようなものがあります。

恒久的施設とは英語で「Permanent Establishment」といい、「PE」と略称で呼ばれています。

PEが国内にあるかどうかで課税関係が大きく変わってきますので、非常に重要なお話なのです。

さて、それではPEにはどんなものが該当するのでしょうか?

日本の税制では、3つのパターンを用意しています。

  1. 支店等
  2. 建設作業場
  3. 代理人等

まず今日は、1の「支店等」を見ていきましょう。

PE①「支店等」

ストレートな意味的には、

事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場又は作業場

と、なっています。

恒久的施設なんていうので、まさに言葉の意味そのもの、という風に感じられます。

ただし。

税金の世界での意味合いでは、日本語的な内容よりも相当範囲が広げられていて、

鉱山とか石油などの抗井といった天然資源を採取する場所

も「支店等」に含まれていますし、税法によくある表現ですが、

「その他事業を行う一定の場所」

も「支店等」に含まれる、という形で意味を広げるだけ広げているのです。

・・・逆にここまで広げられると意味不明ではありますので、具体例として↓

  • 倉庫、サーバー、農園、養殖場、植林地、貸ビル等
  • 事業活動の拠点としているホテルの一室や展示即売場

といったものまで、「支店等」ということでPEとなるのです。

倉庫やサーバーがあるだけで日本の課税が及んでくる、というのですから恐ろしい話だなと思われたかもしれません。

当局の視点で見ると、PEの認定から外れてしまえば日本の課税が及ばない、という意味でもあるのです。

PEから外れたい納税者と、PEにしたい当局のせめぎあいの末に、このような内容で決まっているとご理解いただきたいところです。

「支店等」でも、PEから外れることがある

支店等に該当したとしても、以下の活動が非居住者・外国法人の事業の遂行にとって

準備的又は補助的な性格のもの

である場合は、その場所はPEではない、ということになります。

  • 施設を物品や商品の保管や展示、引渡しのみに使っている場合の「その施設」
  • 施設を物品や商品の在庫を保管や展示、引渡しのみに使っている場合の「その施設」
  • 物品や商品の在庫を、他の事業者に加工してもらうためにのみ保有している場合の「その保有している場所」
  • 物品や商品を購入したり、情報を収集することのみを目的として支店等を保有した場合の「その場所」
  • 事業のために、上記以外の活動を行うことのみを目的として支店等を保有した場合の「その場所」

とまぁ、このような感じです。

もう一度言いますが、「準備的又は補助的な性格のもの」であることが前提です。

上に列挙した活動でも、支店等である以上は「準備的又は補助的な性格のもの」でなければ、普通にPEですよ。

若干、ルールが入り組んできていますが、少しずつ理解していきましょう。

【編集後記】

PEから外れるもの、というのをルールに入れてしまったので、「では、PEから外れるためにはどう工夫すればいいのか」と考えだすのは人情ですよね。

このせいで本当はもう一段、屋上屋があるのですがキリがいいので今日はここまで。

さて、昨日は朝から市ヶ谷での会合に参加。

都心で昼食やら買い物をまとめて済まして帰宅。

夕方から毎日ブログの更新。