国際税務を学びなおす69~外国子会社合算税制⑳~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。外国子会社合算税制の部分合算課税の続きです。


<参考>


異常所得

これは、前回の受動的所得のうち、Aグループに所属するものです。

名前がおどろおどろしいのですが、

部分合算課税は、外国関係会社の所得のうち、列挙した所得だけしか課税の対象にしないというもの。

こういうことをすると、当然モレが出てくるわけです。

このままでは租税回避に十分対応できないかもしれませんので、

外国関係会社の資産の規模だったり、人員の数だったり、経済実態を見たときに

その事業内容から通常は発生しない、発生する根拠がなさそうだと思われる所得について、

「異常所得」と名前を付けて部分合算課税の対象にしているのです。

ですから、具体的にどんな所得?というお話ではありません

その計算方法ですが、

まず最初に、外国関係会社に以下の所得が無い場合を想定。↓

  • 剰余金の配当等
  • 受取利子
  • 有価証券の貸付け
  • 有価証券の譲渡損益
  • デリバティブ取引の損益
  • 外国為替相場の変動により生ずる損益
  • 上記の利益や損失を発生させるような資産の運用、保有、譲渡、貸付けその他の行為による損益
  • 正味の保険収入など
  • 固定資産の貸付け
  • 支払を受ける無形資産等の使用料
  • 無形資産等の譲渡損益

どっかで見たような。はい、部分合算課税の対象になる所得ですね。

で、外国関係会社の税引前当期純利益の金額からこういう所得を差し引く

そこからさらに、

外国関係会社の総資産の金額と、人件費と、減価償却費。

この3つの合計額の50%を差し引く。

それでも残った金額があれば、それは「異常所得」だ、ということで部分合算課税の対象になるのです。

課税の対象金額

部分合算課税の対象になるA、Bそれぞれのグループの所得を足して計算します。

なお、Bグループは理屈上マイナスもあり得ますが、部分合算課税の計算の上では最低値はゼロです。

で、ここでグループを分けた意味がようやく出てきます。

部分合算課税の計算ではマイナスにはしないのですが、

実は、Bグループの所得の合計が7年以内にマイナスになっていた時期があるのであれば、

マイナス分を繰り越して今年のBグループの所得と相殺することができるのです。

損失額を繰越控除できる、ということになっているのです。

こういう計算をして、AB両グループの所得を足してやって、部分適用対象金額がやっとこさ計算できました。

ただし、マイナスの繰り越し分については、

その外国関係会社が部分対象外国関係会社だった時期のマイナス分であることが必要で、

租税負担割合が20%以上だった年度のマイナス分は除かれてしまいます。

こういう制限がありますので要注意です。

あとはここに、請求権等勘案合算割合を掛け算して、合算金額を求めることになります。

部分合算課税の「適用免除」

最後に、部分合算課税の適用が免除されるケースをご紹介します。

まずは、

  • 租税負担割合が20%以上である場合

租税負担割合の計算については、過去記事でご紹介しています。

お次は、

  • 部分適用対象金額が2000万円以下の場合

計算した結果、あまりにも課税対象金額が小さい場合は、免除しますよということ。

最後に、

  • その外国関係会社の決算に基づく所得金額と比べて、部分適用対象金額が5%以下しかない場合

これも同じく、あまりにも少額なので、ということ。

【編集後記】

これで外国子会社合算税制は一区切り。

さて、昨日は朝一のブログ更新。

午後からは初詣と買い物。

テレビゲーム「RED DEAD REDEMPTION2」をはさみつつ、

事務所の決算を終了。確定申告に備える。