国際税務を学びなおす68~外国子会社合算税制⑲~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、国際税務を学びなおす。外国子会社合算税制の部分合算課税に入ります。
元旦でもいつも通り。
<参考>
部分合算課税
CFC税制の判定。
特定外国関係会社から外れ、
経済活動基準に該当して対象外国関係会社からも外れた。
これで一安心できるかと思いきや、最後の計算が残っています。
「部分合算課税」というパートに入ります。
これまでの「特定外国関係会社」「対象外国関係会社」の場合は、
合算する場合はその外国関係会社の全所得を対象に持株割合などを掛け算して計算していました。
これからお話しする部分合算課税は、その言葉通り、
外国関係会社の所得のうち特定部分だけを合算課税の対象とする制度。
対象になる会社
制度の説明に入りますが、まず最初に部分合算課税の対象となる外国法人とは↓
- 特定外国関係会社に該当しないこと。
- 外国関係会社のうち、経済活動基準をすべて満たすこと。
で、「経済活動基準」とは。
- 事業基準
- 実体基準
- 管理支配基準
- 非関連者基準or所在地国基準
のこと。
(経済活動基準については→経済活動基準その1、その2、その3)
この2つの条件を満たす会社のことを、
部分対象外国関係会社
と呼んでいます。
ペーパーカンパニーではないし、会社の存在自体がそこまで租税回避リスクがあるわけではないけれども。
その会社の収入のうちに、租税回避リスクがありそうなものがあれば、抽出して合算の対象にしているのです。
「受動的所得」を狙い撃ち
どんな所得が狙われているのか。
CFC税制では、2グループに分けて列挙しています。
<Aグループ>
- 剰余金の配当等
→配当金額から配当のために直接要した費用の額などを差し引く。
また、持株割合25%以上で支払義務が確定する日以前6カ月以上継続している場合は、除く。ただし、本店所在地国で損金に入った配当の場合は、除かない。
- 受取利子等
→利子から受け取るために直接要した金額を差し引く。
また、その外国関係会社の業務の通常の過程で生じる預貯金の利子は対象外。
- 有価証券の貸付けの対価
→対価の額から対価を得るために直接要した費用の額を差し引く。
- 固定資産の貸付けの対価
→対価の額から直接要した費用の額、減価償却費を差し引く。
また、部分対象外国関係会社の本店所在地国で使用する固定資産の貸付けなどの場合は対象外。
- 無形資産等の使用料
→使用料から、使用料を得るために直接要した費用の額を差し引く。
また、部分対象外国関係会社がその無形資産の研究開発を主として行った場合などは対象外。
<Bグループ>
- 有価証券の譲渡損益
→売却額を得るために直接要した費用の額を差し引く。
また、売却直前に持株割合が25%以上だった場合は、受動的所得から除く。
・デリバティブ取引に係る損益
・外国為替損益
→部分対象外国関係会社の業務の通常の過程で生じるものは対象外。
- その他の金融所得
- 保険所得
・無形資産等の譲渡損益
→売却額から、売却額を得るために直接要した費用の額を差し引く。
ここで2グループに分けて所得金額をそれぞれ計算し、部分合算課税の計算に進んでいきます。
で、実はあと1つだけ、Aグループに入る所得があるのですが、その名を「異常所得」と呼んでいます。
次回は異常所得のお話から進めていきます。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からはゲームと来年のことを色々と考える。
夜はオンラインセミナーを受講。