国際税務を学びなおす67~外国子会社合算税制⑱~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。合算金額の計算の続き。
<参考>
適用対象金額
前回、お話しした「基準所得金額」から、
- その特定外国関係会社or対象外国関係会社の7年以内に開始した事業年度に生じた欠損金額
- 納付する法人所得税
を、差し引いた金額です。
注意点は「欠損金額」。
その欠損金額が発生した時点の、外国関係会社がどういう状態だったのか?
その外国関係会社が、同じ区分の時に発生していた欠損金額だけしか差し引けません。
具体的に言うと、
- 合算対象が特定外国関係会社→その外国関係会社が「特定外国関係会社」に該当していた事業年度に発生した欠損金額が差し引く対象
- 合算対象が対象外国関係会社→その外国関係会社が「対象外国関係会社」に該当していた事業年度に発生した欠損金額が差し引く対象
- 合算対象が部分対象外国関係会社→その外国関係会社が「部分対象外国関係会社」に該当していた事業年度に発生した欠損金額が差し引く対象
(※部分対象外国関係会社とは何か、次回のご説明です。)
そして、外国関係会社が特定外国関係会社、対象外国関係会社に該当しなかった事業年度に発生した欠損金額は、差し引く対象から除きます。
また、租税負担割合によって、CFC税制の適用免除となった事業年度に発生した欠損金額も、差し引く対象から除きます。
ふと思いつくのは。
多額の累積赤字がある海外の会社を買収してきて、その赤字をうまく使ってCFC税制の負担を減らそう・・・なんてことを考える方でもいるのかな、と。
こう見てみると、使える欠損金額の範囲は狭そうですね。
課税対象金額
適用対象金額に、「請求権等勘案合算割合」をかけて、日本に合算する金額を計算します。
ここは持株割合と、単純に考えておきましょう。
外国関係会社の判定と、同じ「連鎖方式」です。
なお、その外国関係会社と「実質支配」の関係にあると、合算割合は100%です。
合算する時期はいつ?
さて、課税対象金額まで計算したところで、
日本の納税者にいつ合算するのか?
という疑問が出てきます。
答えとしては、
外国関係会社の事業年度終了の日の翌日から2カ月を経過する日を含む
- 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
- その者の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入される。
となります。
なので、例えば、
外国関係会社の決算が3月で、
内国法人の決算も3月の場合→内国法人の翌事業年度の益金算入
内国法人の決算が6月の場合→内国法人の当事業年度の益金算入
と、なりまして、合算する事業年度がズレる可能性がありますので、気を付けましょう。
ちなみに個人に合算する場合は、例えば、
外国関係会社の決算が3月→当年の雑所得。
外国関係会社の決算が11月→翌年の雑所得。
となります。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは知人と会食。
ゆったりめに過ごす。