国際税務を学びなおす66~外国子会社合算税制⑰~

2024-12-30

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。外国子会社合算税制の合算金額の計算に入ります。


<参考>


計算式

特定外国関係会社or対象外国関係会社に該当し、

基準となる租税負担割合を下回った場合。

いよいよ、外国関係会社の所得を日本の納税者に持って来て課税する段階に入ります。

で、肝心の、「日本の納税者に合算する所得」の計算式ですが↓

  • 「外国関係会社の基準所得金額」-7年以内の欠損金額-納付する法人所得税=適用対象金額
  • 適用対象金額×請求権等勘案合算割合=課税対象金額→これを日本の納税者に合算します。

ここで新しい単語が出てきました。

基準所得金額、適用対象金額、課税対象金額・・・

ここをお話すれば、ヤマを越えます。がんばりましょう。

基準所得金額

とはいえ、一番ヤヤコシイのは基準所得金額。

ここを最初に押さえてしまいましょう。

これは、

外国関係会社の所得金額について、「調整」を加えたもの

です。

ただ、「調整」という言葉が気になりますよね。

この調整、考え方が2通りあって、

  1. 日本の法人税法や租税特別措置法の計算に準じて行う方法
  2. 外国関係会社の本店所在地国の法人所得税に関する法令に従って計算する方法

となります。

ただ、1番が原則、2番が例外、何て言われているようでして、

計算方法を変更する場合は税務署長の承認が必要・・・と、手続き面で注意が必要です。

以下では、1番の方法について簡単にお話をします。

日本の法人税法や租税特別措置法に準じてと言っても、

実は一部の規定を適用せずに計算したりするので、その辺は割愛。

あと、納付する法人所得税を所得に足して、還付される法人所得税を所得から引くこととなります。

そこに、「配当」に関する調整が入ります。

配当の扱いを整理

なんで配当をわざわざ別建てとしたか。

端的にボリュームがあるからです。

配当って、配当を支払う会社の税金を課された残りの利益から支払われるもの。

なので、受け取る方でも課税すると、二重課税になってしまいます。

そのため、日本では益金不算入にしている。

これ、CFC税制でも同じように考えます。

シンプルな方から説明します。

まず。

外国関係会社に対して配当を支払う法人が「外国関係会社以外」である場合。

基本的に、調整不要です。

ただし。その法人が、外国関係会社にとっての「子会社」だったら?

(子会社・・・持株割合25%以上で、その状態が配当の支払い義務が確定する日以前6カ月以内継続している)

同一の出資関係のあるグループ内で、二重課税になってしまっています。

なので、対象になる外国関係会社が、外国関係会社以外の子会社から配当を受け取っていた場合は、

基準所得金額から除いてあげる必要があります。

ここまでは、大丈夫ですか。

続いて、外国関係会社に対して配当を支払う法人が「他の外国関係会社」である場合。

この上で、「他の外国関係会社」が子会社である場合。

ここはさっきと結論が変わらず、配当金を基準所得金額から除いてあげる必要があります。

もし、他の外国関係会社が子会社では無かった場合。

このケースは、外国関係会社が受け取った配当金の出元が、その他の外国関係会社のCFC税制の合算対象となった金額であれば、

こちらは二重課税になっていますので、基準所得金額から除く、ということになります。

ということで。

CFC税制の対象となる外国関係会社が、

  • 他の外国関係会社から配当金を受け取っているのか、
  • 外国関係会社以外から配当金を受け取っているのか

で、パターンが分かれますし、

子会社に該当する相手から配当を受け取っているのか、子会社に該当しないのか、でさらにパターン分けがある、ということになっております。

【編集後記】

昨日は市ヶ谷のカフェで朝一のブログ更新。

その後、会合に参加。

昼食後自宅に戻り、事務所の経理を11月分まで終わらせる。