国際税務を学びなおす65~外国子会社合算税制⑯~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、国際税務を学びなおす。外国子会社合算税制の「割合」について。
<参考>
租税負担割合
ここまで、CFC税制の対象となる2パターンの会社。
- 特定外国関係会社
- 対象外国関係会社
について、お話を進めてきました。
で、この2パターンに該当した外国関係会社は、即座にCFC税制が適用される・・・
かというと、実はそうではありません。
CFC税制は、
低税率・無税の国・地域に、ペーパーカンパニーなどを作って、
そこに利益をため込んで課税から逃れることを防ぐ。
こういう目的の税制。
となると、根本的に、
「低税率・無税」でない国・地域に会社を作っているのであればCFC税制の対象とする必要が無いのです。
そのための判断基準が、
租税負担割合
です。
基準は、
- 特定外国関係会社→27%
- 対象外国関係会社→20%
特定外国関係会社については、ペーパーカンパニーですから租税回避の危険が高い、ということで、日本の実効税率を参考に、27%としています。
(最近の改正で引き下げられています。以前は30%でした)
割合の計算:無税国以外に本店がある場合
計算式は、
税金÷所得
なのですが、
無税国以外と無税国、それぞれで計算式が設定されています。
まずは、無税国以外の場合から。
「所得」をどうやって計算するのか?
基本的には、
その本店所在地国の外国法人税に関する法令に従って計算した所得金額
がベース。
そこに、足したり引いたり。
<足すもの>
- 本店所在地国の法令で、外国法人税の課税標準に含まれていない所得
- 支払う配当金で、損金に算入されているもの
- 納付する外国法人税のうち、損金に算入されているもの
- 一部の保険準備金の関係で、費用などにしたもののうち損金に算入されない
- 一部の保険準備金の関係で、収益にしたもののうち、益金にするべき金額に満たない部分
<引くもの>
- 還付される外国法人税のうち、益金に算入しているもの
続いて、「税金」をどうやって計算するのか?
基本的には、
外国関係会社の各事業年度の所得金額に対して、本店所在地国や本店所在地国以外で課税される外国法人税の額
がベースです。
注意点は、本店所在地国以外で課税される外国法人税も含むということ。
その外国関係会社全体でどれだけ課税されているのかがポイントです。
割合の計算:無税国に本店がある場合
同じく「所得」の計算から。
その外国関係会社の所得について、同じように足したり引いたりします。
<足すもの>
- 支払う配当で、費用・損失にしているもの
- 納付する外国法人税のうち、費用・損失にしているもの
- 一部の保険準備金の関係で、費用などにしたもののうち損金に算入されない
- 一部の保険準備金の関係で、収益にしたもののうち、益金にするべき金額に満たない部分
<引くもの>
- もらう配当で、収益にしているもの
- 還付される外国法人税のうち、収益にしているもの
続いて、「税金」をどうやって計算するのか?
基本的には、
外国関係会社の各事業年度の所得金額に対して、本店所在地国以外で課税される外国法人税の額
がベースです。
「無税国」ですから、本店所在地国では課税を受けてはいませんが、
海外取引をしている場合には、本店所在地国以外で課税をされる可能性もあります。
無税国だから、税金なんて払っていないだろう、ではなく。
本店所在地国以外で課税された税金を計算式にきちんと持ってくる必要があります。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは、事務所の経理を引き続き。