国際税務を学びなおす54~外国子会社合算税制⑤~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。外国子会社合算税制の続き。
<参考>
外国関係会社の利益を合算するのは誰か?
この流れで特定外国関係会社に・・・と思ったのですが、
そもそも日本の誰がこの制度の対象となって合算されるのか?
というお話を先にしておこうと思います。
外国関係会社の利益を一緒に申告しなければならないのは、
居住者、内国法人のうち、外国関係会社に対する次のいずれかの割合が10%以上である者。
- 株式の保有割合
- 議決権の保有割合
- 請求権の保有割合
外国関係会社になるかどうかの判定は、日本からの出資全体が50%を超えているかどうか、でした。
利益を合算する必要のある日本の納税者は、10%以上かどうかで判定するのです。
あるいは、
その外国関係会社と実質支配関係にある居住者、内国法人
となります。
実は、ここまでは外国関係会社に対する判定とそんなに変わっていません。
直接株式などを持っていない場合
ここが間違いやすいなーというところ。
自分は、外国関係会社の株式を持っている他の外国法人の株式を持っている、というケース。
外国関係会社の判定ではどうでしたか?
内国法人や居住者が、その外国法人の株式を50%超持っていれば、外国法人の外国関係会社に対する割合をそのまま判定に使いましたね?
連鎖方式、と呼んでいました。
でも、利益を合算する対象になるかどうかの判定をする際には、
掛け算方式
となるのです。
・・・具体例で言わないと、なかなか伝わりづらいですね。
例えば、日本のA社が外国のB社の株式を60%持っていて、B社が外国のC社の株式を90%持っている場合。
連鎖方式では、A社がB社の株式を50%超持っているので、連鎖してB社が持っているC社の株式割合90%をそのまま外国関係会社の判定に使います。
掛け算方式では単純で、A社が持っているB社の株式割合60%にB社が持っているC社の株式割合90%を掛け算して、54%と計算するのです。
この計算で10%以上かどうかで、合算対象になるか判定を行います。
こういうところがテストに出る笑
同族株主グループという考え方
じゃあ、単体で10%以上にしなきゃいいのでは?
と、みんな考えます。
ひとりひとり、一社ごとで10%を下回る場合でも、
この「同族株主グループ」全体で10%以上の場合は制度の対象になるのです。
グループに入るのは、
- 居住者の親族
- 居住者が実質支配している内国法人
- 内国法人の役員
- 内国法人が実質支配している内国法人
ですから、
家族間で株式を分散したり、
自社の役員にも株式を持ってもらったり、
支配している子会社に株式を保有してもらって、
単体では10%以下に抑えたつもりでも、そうはいかないですよということ。
【編集後記】
こういう制度を見ていると、まぁ色んな方法で回避をしようとみんなしていたのだなと思います。
それを塞いでいってこういう風になったのでしょう。
さて、昨日は朝一のブログ更新。
午後から東武練馬に出張。クライアントと、ご申告に関する打ち合わせ。
夕食を摂り帰宅後、打ち合わせに基づいて申告のシミュレーションをExcelで行う。
申告作成ソフトで計算する方がかえって時間がかかる気がする・・・。
Excelの方がカスタマイズしやすく、速い。