国際税務を学びなおす49~外国子会社配当②~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、国際税務を学びなおす。外国子会社からの配当金の続き。


<前回>


二重課税を防ぐ

というのがあくまで目的なので、(その他経済政策的なものもあるにせよ)

「外国子会社の配当金は利益にしなくていいですよ」

だけではすまないのです。

どういうことか。

その配当金、外国で源泉徴収の対象になっていませんか?

大抵の、外国法人からの配当金には現地国で税金が源泉徴収の対象になっているように思います。

で、そういうたぐいの税金は、日本では外国税額控除の対象になることも多い。

これ、外国税額控除の対象にしていいのか?という話。

外国税額控除の対象にしてしまうと、おかしな話になります。

日本の税金の計算で利益にしていない、つまり課税対象にしていない配当金に対して外国でかけられた税金を日本の税金から控除する?

これはできません、ということ。

きちんと書くと、

益金不算入にした外国子会社からの配当金にかけられた外国法人税の額は、日本では外国税額控除の対象にはならない。

ということになります。

じゃあ、費用に・・・

「あ、そうですか、外国税額控除の対象になりませんか。

では。外国で源泉徴収された税金は、費用にでもしますか・・・。」

と考えたくなりますが、それもダメ。

なぜなら、その源泉徴収された税金、大元の配当金が日本で非課税になっているのですから、源泉徴収された税金が費用にできる、というのもおかしな話なのです。

ここも対応させるということで、日本で非課税になった配当金にかけられた税金は、費用にできないということになっています。

きちんと書くと、

益金不算入にした外国子会社の配当金にかけられた外国法人税は、損金不算入。

となります。

そもそも論を思い出す

「国際税務を学びなおす」で、一番最初に書いたこと。

国際税務の役割の一つに、

日本と他国との間で「納税者に課税する権利」を調整する

というものがあると。

これが正に、この制度の目的。

国際税務を学んでいると、段々と計算が複雑になっていって、頭を抱えそうになります。

その時、国際税務の役割という補助線を引いてみる。

そうすると、意外とすんなり頭に入ってくるかもしれません。

今回の制度も、益金不算入まではすんなり。

でもその後に続く、外国税額控除とのかかわりや費用にできない話まで来てしまうと、

段々ややこしく・・・。

そんなときに、

「国際税務には、日本と他国との間で「納税者に課税する権利」を調整する役割があったな」

という視点で見てみると、こういう計算はむしろ当たり前だなと。

次回以降の記事でも、国際税務の制度をご紹介していきますが、

その都度この役割に立ち返って、お話をしていければなと思っています。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

午後からは、明日のオンライン打ち合わせの資料作成。