国際税務を学びなおす48~外国子会社配当~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。外国子会社から配当を受け取った場合。
<前回>
目的は・・・
日本企業は海外に生産拠点を移し、最近では海外での売上が大きくなってきているそうです。
その中で、海外に子会社を設けて展開している企業さんの場合、海外で稼いだお金を日本に戻さずに海外にそのまま置いておくこともあるのだとか。
日本としては、海外で稼いだお金も日本に投資してもらって、経済を盛り上げたいところですね。
そこで、
海外子会社から配当金を受け取った場合は、その配当金に法人税を課税しない制度
を導入しました。
まぁ、そもそも海外子会社の配当金の素になったお金は、
海外子会社が海外で課税された後に残ったお金
ですから、そこから配当してもらってさらに日本でも税金をかけてしまうと二重課税になる、という問題もありますからね。
そこに、経済政策に関する考えもあって、この制度の創設となった、ということのようです。
ポイントは2つ
もう一度制度を簡単に、
海外子会社から日本の親会社が配当金を受け取った場合は、その配当金に法人税を課税しない。
というもの。
正確に言うと、
配当金を「益金に算入しない」という表現になります。
ポイントは2つあって、
- 海外子会社から受け取ること
- 配当金を受け取ったこと
この2つを満たすことが条件。
まず、海外子会社から。
- 株式の25%以上を持っていること
- その状態が、配当金の支払義務が確定する日以前6カ月以上継続していること
特に2番目は大事で、
配当金をもらえる直前に焦って株式をかき集めてもダメ、ということ。
続いて、配当金。
ですが、難しく考える必要はありません。
日本で配当金として扱われるものをそのまま配当金として扱えばいいのです。
(※日本国における配当金の考え方で押し切るということです。海外で配当金として扱われるかどうかは別問題です)
さて、配当金についてですが、1つ注意で、こういうタイプのものはこの制度の対象外となります。↓
配当金を払った子会社で、「費用扱い」となる配当金
簿記会計を習った方なら、
「配当金は費用にならないだろ」
と思われるかもしれませんが、世界の国々では、配当金を費用計上できる(=損金算入できる)税制を持っている国もあるのです。
で、外国子会社の方で損金になるのであれば、日本の方でも益金不算入とすると、
二重非課税
という不健全な状況になりますので、このような配当金は制度の対象外となっております。
計算
実際の計算は↓
外国子会社の配当金-配当金額の5%=益金不算入
です。
なんか余計な5%を引いてますが、趣旨としては、
外国子会社の配当金を得るために日本の親会社に発生したコスト相当額
だそうです。
配当金を非課税とする見返りに、コストは費用とは認めない、という考え。
で、本当は、各企業さんでイチイチコストを個別に計算をしなきゃならないのですが、
事務負担軽減ということで、一律5%としているのだそうです。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは、翌日面会するクライアントにお渡しする資料作成。