国際税務を学びなおす46~外国税額控除⑨~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は、国際税務を学びなおす。外国税額控除の計算で、「枠」についてのお話し。


<前回>


足りなかったり、余ったり

外国税額控除の計算をしていると、

  • 外国でたくさん税金を払ったのに、日本で控除限度が少なくて引ききれなかったパターン(控除対象外国法人税の額より控除限度額が小さい場合)
  • 日本で控除限度額が十分あるのに、外国でほとんど税金を払っておらず控除を余らせた場合(控除限度額が控除対象外国法人税の額より大きい場合)

など、

外国税額控除の枠が足りなかったり、余ったりすることがあります。

・・・何だか、もったいないですね。

ということで、

外国税額控除の計算では、控除の枠を足りなかったり余ったりした部分を繰り越すことができるのです。

繰越OK

まず、控除対象外国法人税の額が控除限度額を超えた場合、ですね。

この超えた金額、3年間の繰越ができます。

イメージとしてはこんな感じです↓

繰り越した年に、

控除限度額が控除対象外国法人税の額より大きくて枠が余った場合

に、昔の枠を超えた分の控除対象外国法人税の額を持って来て、今年の税金から控除ができる。

逆に、控除限度額が控除対象外国法人税の額より大きい場合、についても、

この超えた金額、3年間の繰越ができます。

繰り越した年に、

控除限度額が控除対象外国法人税の額より小さくて枠が足りない場合

に、昔の枠が余った分の控除限度額を持って来て、今年の税金から控除ができる。

このようになっています。

外国税額控除の計算順序

実際の計算は、

控除対象外国法人税の額を、

今年の法人税、地方法人税の順番に控除。

今年の道府県民税、市町村民税の順番に控除。

ここまでやって初めて、

3年以内の「控除限度額が控除対象外国法人税の額より大きかった部分」から控除。

それでも「控除対象外国法人税の額」が余ったら、繰越。

となっています。

昔の分があるから先に控除で使ってしまおう、とはできません。

今年の分を控除して、それでも枠が足りなければ初めて昔の枠を持ってくることができるのです。

ちょっとややこしそうですね。

ただ、以前外国税額控除の別表を扱ったことがありますが、

基本的には別表の記載通りに計算すれば正しく順番に控除ができる、

という別表の記載ぶりになっているので、そこは大丈夫かなと。

(それがそもそも難しい?う~ん、ですよね。私もそう思います。)

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

午後からは、弊事務所にクライアントが来所。

税務調査に関する打ち合わせを夕方まで。