国際税務を学びなおす45~外国税額控除⑧~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。外国税額控除のここまでのまとめ。
<前回>
仕組み
外国税額控除も、内容としては一段落。
ここで、今までのまとめをしておきましょう。
まずは、なぜ外国税額控除などというものが必要なのか?
国際間での取引が活発になると、
「誰に、どの国が、どの範囲まで課税するのか」
という問題が起きてきます。
国際課税の世界では大事な2つの考え方、
- 居住地国課税
- 源泉地国課税
がバッティングしてしまい、
とある国で稼いだ所得に対して、その稼いだ国と自分の本国の両国が税金をかけようとしてきます。
こうなりますと、海外で稼ぐより自国にこもってビジネスした方がいい、ということになり経済に悪影響を及ぼしてしまいますので、
源泉地国で課税した税金について、本国の方で調整してあげよう(=本国の税金を減らす)ということで、外国税額控除の仕組みが設けられたのでした。
控除対象外国法人税
で、外国税額控除を使うときに、大事な2つの数字があります。
その1つが、
控除対象外国法人税。
これは何かというと、外国税額控除の対象になる外国でかけられた税金のこと。
ポイントは下線部ですね。
外国で払った税金なら何でもいいというわけではありません。
まずは、「外国法人税」である必要があります。↓
外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税
これが根っこの考え方。
ここに、
- ちょっと意味的に微妙だけど、大元が「法人の所得を課税標準として課されている」から範囲に含める税金
- 一見すると「法人の所得を課税標準として課されている」けど、よく見たら範囲に含めちゃいけない税金
を、加えたり除いたりして「外国法人税」の範囲が定まります。
ここから、
- 所得に対する負担が効率な部分の金額(税率35%超で、日本で課税される範囲を超えている)
- 通常行われる取引と認められない取引に係る外国法人税の額
- 日本で法人税が課税されない金額を課税標準として課される外国法人税(外国子会社からの配当とか)
を除きます。
ここまで来て、ようやく控除対象外国法人税の計算が完了。
調整国外所得金額
大事な2つの数字の2つめ。
調整国外所得金額。
これは何の数字かというと、外国税額控除の控除限度額の計算に現れる数字です。
控除限度額=法人税額×調整国外所得金額÷所得金額
式の通り、控除限度額は、その法人の所得に対する「調整国外所得金額」の割合で決まってきます。
で、算出の仕方としては、
①まず、国外所得金額を求める。
国外で稼いだ所得(=国外源泉所得)のうち、日本で課税の対象になる所得の金額を計算。
②非課税国外所得金額を求める。
国外所得金額のうち、外国で課税されない所得のこと。
③国外所得金額-非課税国外所得金額=調整国外所得金額
となります。
外国で課税されないのであれば、二重課税にならず外国税額控除の対象にする必要はありません。
ここまで計算をやってきて、ようやく外国税額控除の金額を計算することができるのです。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
群馬県高崎駅への電車内でパソコンをポチポチと。
駅から車で草津温泉へ移動。
草津は10年くらい前に一度来たくらいで、久しぶり。
今回の記事も、旅館の部屋で書いてます。