国際税務を学びなおす42~外国税額控除⑤~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。めでたく外国法人税の範囲に含まれても、まだまだ。
<前回>
ここまでを整理
外国税額控除について、お話をしています。
外国税額控除を受けるためには、まずは
外国法人税を支払うこと
という条件を満たすことがマスト。
で、外国法人税とは↓
外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税
でした。
そしてここに、
- 微妙に違うけど、外国法人税に含んでいい税金
- あてはまるように見えるけど、外国法人税に含んでしまうといろいろと不都合なので含めてはいけない税金
を調整した結果、
ようやく外国法人税の意味がはっきりすることになりました。
まだまだ・・・
さて、ここから次のお話に進むか、と思いきや。
まだ終わりません。
せっかく、外国法人税の範囲に収まったかと思いきや。
さらにここから除外していく税金があるのです。
まずは、
- 所得に対する負担が高率の部分の金額
具体的には、外国で35%を超える税率で課税された場合。
35%とは、日本の法人に対する実効税率ということらしいです。
そもそも、外国税額控除は、外国でも日本でも課税されて、二重課税となっている状態を解消することが目的。
となりますと、日本で課税される範囲を超えて外国で課税された場合、日本ではそこまで課税をしていないわけですから、外国税額控除で調整をする必要はなし、ということになるのです。
また、利子に対する源泉徴収についても、一部で上限が設定されています。
いくつか例を
「外国子会社から配当を受け取った場合」の話。
外国の会社から配当を受け取ると、大抵は外国で源泉税を課税されます。
となりますと、その配当金を受け取った日本の法人には法人税が課されますので、二重課税が・・・とはなりません。
一定の条件を満たす外国の子会社から受け取った配当金は、日本では非課税なのです。
その配当金に限ってみると、二重課税が起きていません。
ですから、外国の子会社から受け取った配当金に課税された税金は、外国税額控除の対象から外しているのです。
あと他にもいろいろとあるようですが。
興味深いものとして、
- 通常行われる取引と認められない取引に係る外国法人税の額
は?と思いますよね。こういう取引に関する外国法人税は、対象から外します。
それにしても何だかさっぱりわからない。
施行令まで読むと、多少は具体的になりますが、まだ意味不明。
詳細を知りたい方は、
「外国税額控除余裕枠事件」
とネットで調べてみてください。
端的に言うと、日本のとある銀行が、外国にある取引先の会社を利用して「通常行われる取引と認められない取引」をした結果、外国税額控除を不当に受けていた、というもの。
事件当時は、「合法」でした。
ただ、国税当局と銀行が裁判で争った結果、銀行さんの方が裁判所から
「君たち、やりすぎ」
と怒られたんですね。
(最高裁は、「外国税額控除を濫用するもの」と言い切っています)
その経緯があって、このような取引が外国法人税から外されるようになった、ということなのです。
ま、まっとうな申告をしている納税者には関係ない話です。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
移動しながら、クライアントの打ち合わせ資料作成。
Excelのsumif関数、習得。