国際税務を学びなおす37~租税条約14・終~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。租税条約の最後です。
留学
学生時代、留学をしていた方もいらっしゃるでしょう。
こういうとき、OECDモデル租税条約では、特別のルールを作っています。
A国の居住者が、もっぱら教育又は訓練を受けるためB国に滞在する場合であって、
生計、教育又は訓練のために受け取る給付でB国の外から支払われたものについては、B国で課税しない。
どんな支払いが対象かというと、まず思いつくのは本国の家族からの仕送り。
これに留学先で課税されたらエライことですよね。
そのため、課税の対象から外しているのです。
なお。
条約にもあるように、免税の対象はあくまで「生計、教育又は訓練」のためのものであって、
留学先でアルバイトをした、なんていう場合は普通に課税の対象です。→給料編
「その他」の所得
税金の世界では、
「○○に課税します」
と、基本的になっているのですが、そうすると課税の対象になる物事からこぼれるものが出てしまいます。
なので、最後にふわーっとした広い網をかけて、逃がさないようにしているのです。(雑所得、とか)
租税条約でも同じで。
居住者の所得項目は、前述の条項で取り扱われていない限り(=その他の所得)、居住地国でのみ課税されるものとする。
となっていまして、これまでご紹介してきた種類にあてはまらなくても、居住している国で課税するということになっています。
・・・まぁ、居住地国では全世界所得課税ですから、ある意味当たり前ではありますが。
ただこれも、PEが絡むと変わってきます。
その他の所得について、原因となった権利や資産がPEと実質的に関連を有するときは、「事業所得」条項の対象となります。
つまり、所得が発生した国で課税の対象となります。
租税条約の適用を受けるとき
租税条約が適用されると、
源泉徴収の税率が安くなったり、
そもそも源泉徴収をしなくてよくなったりします。
でも、黙っていてこういう特典を受けることができるわけではありません。
「租税条約に関する届出書」という書類を、税務署に提出する必要があります。
誰が?非居住者に対して支払いをする人です。
「源泉徴収をする人」が、その支払いをするまでに、税務署に届出を出す必要があるのです。
これをしないと、日本の税法のルール通りに源泉徴収をすることになりますので、忘れないようにしましょう。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からクライアントのExcel入力と図書館へお出かけ。