国際税務を学びなおす36~租税条約13~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。芸能に関する所得とその他。


<参考>


芸能人・運動家の個別ルール

OECDモデル租税条約では、芸能人や運動家の方が所得を得た場合に、個別に条文を設けています。

なお。「運動家」?となった方は、上の参考から過去記事をご覧下さい。

A国の芸能人や運動家がB国で個人で活動したことで得た所得に対して、B国で課税することができる。

仕事をした現地の国で課税を受けることになる、ということですね。

これは、今までの他のルールとあまり変わらないような印象を受けますが、

「個人で活動」

という部分がポイントです。

これはあくまで、芸能人や運動家の方が自分自身で直接仕事を受けた場合のお話。

企業に所属した場合は?

例えば、企業などに所属している芸能人や運動家の方が、その所属企業から仕事を受けた場合は話は別。

この場合も、個別の条文がありまして、

A国の芸能人や運動家がB国で活動したことで得た所得が、所属する企業のものになる場合は、B国で課税することができる。

少し、持って回った言い方ですね。

例え企業を通して仕事を受けた場合でも、その企業の所得に対して現地国で課税を受けるということです。

結論、一緒なのです。

でも、なんでわざわざこんなルールを個別に分けたのか?

思い出していただきたいのは、

企業が海外で所得を得た場合には、その国にPEがなければ課税を受けない

というルール。

ということは、その企業がPEを持たない国に芸能人や運動家の方を派遣した場合は、課税受けないということ・・・?

これでは、芸能人や運動家の方が個人で活動しているのと、企業に所属して活動するのでは課税関係が変わってしまいます。

これはよくないね、ということで、わざわざ別建てのルールを作っているのです。

そのほかいろいろ

細々としたものも一気にご紹介。

  • 役員報酬→法人の居住地国で課税。これは、日本の税法と一緒ですね。
  • 退職年金→年金をもらった人の居住地国で課税。
  • 政府職員→こういうカテゴリーもある。基本的には、報酬の支払い国で課税をすることができます。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

その後、税務調査対応を夕方まで。