国際税務を学びなおす35~租税条約12~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。「短期滞在者免税」についてさらに。
<参考>
おさらい
会社員が、海外の支店などの拠点で勤務するように命じられ、働いたという場合。
原則論ではその海外勤務に対応する給料に海外で税金を課されることになります。
ただし、「短期滞在者免税」という制度があって、一定の条件を満たすと海外で働いても税金が免除されることになります。(もちろん日本では課税されますが)
その条件は↓
- 海外に滞在する期間が、課税年度において開始し、または終了するいずれの12カ月の期間においても、合計183日を超えないこと。
- 勤務をした国の居住者でない雇用者から給料をもらうこと
- 雇用者がその勤務地国でPEを持っている場合で、そのPEが給料を負担していないこと。
でした。
で、この条件のうち一部を取り上げて、
「海外で働いても183日以内なら税金がかからない」
というような情報が独り歩きしているような気がしています。
ま、間違っているわけではないんですが・・・。
↑この日数計算方法、考え方、大丈夫?と思うわけです。
OECDモデル租税条約では
まず、OECDモデル租税条約の計算方法から確認していきましょう。
計算方法が一見、わかりにくいんですよね。
「課税年度において開始し、または終了するいずれの12カ月の期間においても、合計183日を超えない」
具体例として、
海外出張期間を2024年10月1日~2025年2月28日までとしましょう。
開始し終了するいずれの期間ですから、
- 2024年10月1日以後12カ月の間で滞在日数をカウント
- 2025年2月28日以前12カ月の間で滞在日数をカウント
した結果、両方183日以内であればOKです。
としますと、この具体例では短期滞在者免税が適用される、と。
こういう計算の仕方をするのです。
その他の計算パターン
一部では、滞在日数をカウントする計算方法が違う租税条約もあります。
- 暦年で計算するパターン
→「海外に滞在する期間が、当該年を通じて合計183日を超えないこと。」
これは単純です。12月31日の時点で計算をぶつ切りにできますから、滞在期間を通算して183日を超えていても年末までで区切って計算すればいいのです。
- 課税年度で計算するパターン
→「海外に滞在する期間が、当該課税年度を通じて合計183日を超えないこと。」
暦年の応用パターンですね。
このように滞在日数の計算方法が違う条約もありますので、必ず租税条約の原文を確認しましょう。
租税条約の原文は、財務省のホームページで閲覧することができます。(日本語訳付きです)
【編集後記】
昨日は朝から市ヶ谷での会合に参加。
池袋で昼食と買い物。
夕方帰宅しブログ更新。
夜にクライアントのエクセル入力を。