国際税務を学びなおす33~租税条約10~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日のテーマは、国際税務を学びなおす。資産を売却した時。
<参考>
外国で「資産」を売却したら・・・
自分が持っている外国にある資産を売却した場合、どう課税されるのでしょうか?
最初にOECDモデル租税条約を見ていきましょう。
A国の居住者がB国にある「不動産」を売却した場合、B国がその収益に課税することができる。
不動産がある国で売却利益に課税を行う、ということ。
不動産だけあって、そこにある国と経済的な関係が強い、という意味ですね。
そして、お気づきになったかもしれません。「不動産」についてしかまだ言っていません。
OECDモデル租税条約では、資産の種類ごとにどう課税されるのかを決めているのです。
個別の資産
ここからは、資産の種類ごとに説明をします。
- PEの資産を売却
→A国の居住者がB国にあるPEの資産を売却した場合、B国がその収益に課税することができる。
PEが存在している国に課税を認めています。
注意点としては、不動産は除かれています。(最初のパートが該当)
PEを構成している不動産以外の財産が対象です。ここには、営業権や特許権なども含まれています。
- 国際運輸に使用する船舶や航空機の売却
→国際運輸に運用している企業の所在地国で課税することができます。
船舶や航空機の所在している場所ではありません。
- これ以外の財産を売却
→売却した者が居住する国で課税する。
特殊:不動産化体株式
こーいうものがあるということは知っておきましょう。
何かというと、
株式の売却だと思っていたら、不動産の売却とみなされるケース
があるのです。
条件は↓
- A国の居住者が売却した株式の価値の50%超が、
- 売却に先立つ365日の間のいずれかの時点で、
- B国に存在する不動産から構成されている
この条件を満たす株式を「不動産化体株式」と呼んでいます。
そしてこんな場合には、株式の売却益に対してB国(不動産がある国)で課税することができる。
このようになっています。
要するに、資産のほとんどが不動産である会社の株式を売却したことは、不動産を売却したものと同じですよ、と考えているのです。
こういうルールも潜んでいますので、株式の売却をした、というときは要注意です。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後から神田に出張し、税務調査の打ち合わせ。
帰宅後、クライアントの資料整理。