国際税務を学びなおす32~租税条約⑨~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。租税条約の使用料編です。


<参考>


使用料にはどう課税するのか?

最初にOECDモデル租税条約を見ていきましょう。

A国で発生してB国の居住者に支払われる使用料は、B国でのみ課税される。

何度か見た文章・・・かと思いきや、実は微妙に違うのです。

さて、まずこの条約から読み取れることは、

B国の居住者はB国が全世界所得課税をしますので、外国からの使用料だろうとB国で課税をしますよ、ということ。

ここは、これまでの利子や配当などと変わりません。

でも、文章をよく見ると、

「B国でのみ課税される」

と書いてあります。

つまり、所得が発生した源泉地国では使用料は課税をしない、ということ。

ここがこれまでと違っていて、利子や配当などは、源泉地国で課税することができるという内容でした。

OECDモデル租税条約では、使用料は源泉地国では免税となることに注意しましょう。

・・・なお。

もちろん、個別の租税条約を見ていくと源泉地国でも課税することができる内容の条約もありますので、

使用料は源泉地国で課税されない、とステレオタイプな覚え方はしないようにしましょう。

使用料にはどんなものが該当する?

  • 文学上、美術上、学術上の著作物の著作権
  • 特許権、商標権
  • 意匠、模型、図面、秘密方式

こういうものの、使用料だとか、使用したことに対するお金の支払い。

が対象とされています。

この辺りは、「OECDモデル租税条約」では、こんな感じなんだなと思っていただければ。

実際のところ、何が使用料に該当するかは、個別の条約を見てみる必要はあるでしょう。

ビミョーに違ったりしますので。

ふわっと、

何かしらの権利を使わせてもらってお金を払った

場合に対象になるくらいでいいかなと思います。

補足

ここまで、使用料は居住地国でのみ課税されますとさんざん言ってきましたが、

その使用料の元の権利がPEに関連するかどうかで結果は全く変わります。

この場合には、

「事業所得」条項が発動しまして、PEの所在する国で課税されることになります。(源泉地国で課税)

ルールが全く変わってしまうんですね。

この辺り、実はOECDモデル租税条約の「使用料」の該当部分にちゃんと書いてくれていますので、条文はきちんと読むようにしましょう。

課税関係が全然違いますからね。

【編集後記】

昨日はイベントが盛りだくさん。

午前中にオンラインセミナーを受講し、昼食を兼ねてオフ会に参加。

オフ会への移動中にブログを更新。

オフ会後に横浜に移動し、ライブ観戦。

夜中に帰宅。