国際税務を学びなおす31~租税条約⑧~

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は国際税務を学びなおす。租税条約の利子について。


<参考>


利子にはどう課税するのか?

最初にOECDモデル租税条約を見ていきましょう。

A国で発生してB国の居住者に支払われる利子は、B国で課税される。

B国の居住者はB国が全世界所得課税をしますので、外国からの利子だろうとB国で課税をしますよ、ということ。

続いて、

A国で発生する利子は、A国の法律に従ってA国でも課税される場合がある。

A国で利子が発生する場合にはA国もその利子に課税することができる、ということを言ってます。

源泉地国でも課税を認めているんですね。

さて、源泉地国A国ではどのように課税するのかというと、基本的にはA国の税法に従いますよ、というのがルール。

ただ。税率に関しては制限をかけていまして、

10%を超えない範囲

とされています。

この場合だと、日本の税法に書いてある税率より安くなるかもしれませんね。

ただ、当然これは「モデル」租税条約なので。

個別の条約を見ていくと、

  • 税率の制限がないパターン
  • 10%超の制限をしているパターン
  • 10%よりも安い税率の制限をしているパターン

などなど、いろいろありますので、あくまで個別の取引については個別の条約を見ていくようにしましょう。

利子とは

さて、ここで根本的なお話し、利子とはどんなものなのかを見ていきましょう。

モデル租税条約では、

あらゆる種類の債権からの所得

とされています。

国債とか地方債、社債は当然のこと、貯金の利子から貸付金の利子まで幅広く含んでいます。

日本の税法が、「貸付金の利子」を別カテゴリーにしていることとは違いますね・・・。

このように、日本の税法と租税条約で、カテゴリーが微妙に違う部分もありますので、言葉の定義は要注意です。

債務者主義【重要】

さて、実はここが一番重要で。

源泉地国で利子が課税されるには、

源泉地国で発生したこと

が条件でした。

でも、利子が「発生」したとは・・・?

となりますので、モデル租税条約では

利息は、支払者がA国の居住者である場合、A国で発生したものとみなす。

としているのです。

どういうことかというと、債権についての債務者が居住している国で発生したと考えるわけです。

日本の税法で見ていくと、↓

いわゆる「利子」については、内国法人だったり国内の営業所に預けた預金が対象だったので、まぁ何となくわかるよねと。

でも。「貸付金の利子」はどうだったか。

日本国内で業務をした分についての貸付金の利子が対象だったはず。

租税条約では考え方を変えまして、その貸付金をどの国で使おうが関係なく、

日本の居住者・内国法人がお金を借りていたということをもって日本で課税する、ということになります。

ここ。日本の税法と考え方が完全に違いますので、課税の対象になるかどうかの判断は要注意です。

【編集後記】

昨日は朝一から千葉県に出張し、会計入力についての打ち合わせ。

夕方都心に戻り、ブログ更新。

買い物と夕食を摂って帰宅。