国際税務を学びなおす30~租税条約⑦~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。租税条約の「配当」編です。
<前回>
配当にはどう課税するのか?
最初にOECDモデル租税条約を見ていきましょう。
A国の居住者である会社がB国の居住者に支払う配当は、B国で課税される。
まぁこれは「当たり前」ですよね、という話で。
B国の居住者はB国が全世界所得課税をしますので、外国の会社からの配当だろうとB国で課税をしますよ、ということ。
お次は、
A国の居住者である会社が支払う配当は、A国の法律に従ってA国でも課税される場合がある。
生成AIの翻訳なので若干・・・ではありますが、
要するに、A国の会社が配当する場合にはA国もその配当に課税することができる、ということを言ってます。
源泉地国でも課税を認めているんですね。
源泉地国(A国)での課税について
源泉地国での配当に対する課税について、税率の上限が設定されています。↓
- 配当の支払いの日を含む365日の間を通じて25%以上保有していた株式に関して配当を受けた→5%
- それ以外の株式→15%
となっています。
これを考えますと、日本の会社が非居住者に対して行う配当については、
税率が修正される可能性
もありますので、要注意。
なお、これは個別の条約にもよりますが、中には持株割合によって源泉地国での課税を「免税」としているものもあるようです。
個別の条約内容の確認も忘れないようにしたいですね。
補足
- 「配当」の意味
→株式、受益株式、鉱業株式、発起人株式その他利得の分配を受ける権利から生ずる所得。ただし債権を除く。
こんな感じでOECDモデル租税条約上では書いています。
この上で、
その他の持分から生ずる所得であって、分配を行う法人の居住地国の税法で配当と同じように取り扱われているものも含む。
とされています。
結局、この後段が大事で、何が配当か、なんていうのはそれぞれの国で全然違う可能性もあるので、租税条約ではっきり決められないと。
なんで、「その国で配当と同じように扱っていれば、租税条約でも配当なのだ」とふわっとした表現をして広く網をかけているわけです。
- PEに帰属する配当
→その配当が、PEと実質的な関連を有する株式から生じたものであるときは、「事業所得」の条項が適用となります。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは、クライアントの決算分析と図書館へのお出かけ。
税務署とのやり取りなど。