国際税務を学びなおす26~租税条約④~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。租税条約の居住者に入ります。
<前回>
<参考>
「居住者」ってどう決まってる?
おもしろいことに、居住者とは何か、についてはモデル租税条約には書いていません。
モデル租税条約ではこのように書かれています。↓
「一方の締約国の法令上、住所、居所、事業の管理の場所その他これに類する基準により、
その一方の締約国において租税を課されるべき者。」
「ただし、国内源泉所得又は国内にある財産に限定して租税を課されるべきものとされる者は、
一方の締約国の居住者に該当しない。」
どう考えればいいのか?
これは、租税条約の目的を見ていく必要があります。
租税条約の目的の一つとして、
二重課税の排除
というものがありました。
全世界所得課税と源泉地国課税との二重課税。
とすると、どちらか一方の国において、「居住者」とされている方がまず対象。
その上で、ただしとして国内源泉所得にしか課税されない方は居住者から外すよ、と。
この、「国内源泉所得にしか課税されない方」は、日本の場合は「非居住者」ですね?
それにお互いが非居住者同士なら、二重課税は起こらないはずですからね。
さらに言うと、世界の国の中では、
居住者の判定について日本と違う国もあります。
そのため、居住者は○○で判定する、という中身になっていないんですね。
お互いの国の中で何らかの基準をもって居住者とされる人が対象。
と、とりあえず決めています。
お互いの国で「居住者」と判定されたら・・・?
お互いの国同士で居住者の基準が同じならいいのですが、
基準が違っている場合だと、お互いの国の両方で居住者とされてしまう可能性があります。
これでは調整が難しいので、段階を踏んでどちらの国の居住者なのかを判定していきます。↓
- 恒久的な住居がある国
- 人的、経済的関係がより密接な国
- 普段住んでいる国
- 国籍がある国
- 国税当局同士の合意
と、数字の順番で判定をしていくことになります。
個人「以外」に注意
租税条約では、「居住者」の範囲に個人だけでなく法人も入っちゃっています。
ここがクセのあるところですね。
この法人の場合も、あくまで、お互いの国の居住者の基準で判定します。
ちなみに、この個人以外というと、つい法人を思い浮かべますが、
法人とみなされる団体も入ってきます、一応。
そのため、「個人以外の者」なんて言い方をわざわざします。
さて、個人以外の者については、お互いの国でそれぞれ居住者とされてしまった場合は、
国税当局同士で協議して、合意によってどちらの国の居住者なのかを決める、
ということになっています。
怖いことに、ここでちゃんとどちらの居住者かを決めておかないと、
租税条約に書いてある税金の軽減や免除の規定が受けられない
ことになります。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からはクライアントのエクセル入力と近所の図書館へお出かけ。