国際税務を学びなおす24~租税条約②~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。日本の税法と租税条約の内容がバッティングしたときは?
<参考>
考え方
租税条約の具体的な中身に入る前に、租税条約と日本の税法との関係性について整理しておきましょう。
【考え方①】
その国の税金のルール上、税金を減らしたり免除したりする制度がある場合。租税条約を結ぶことによって、税金を減らしたり免除したりする制度が無くなったりしない。
つまり、租税条約のせいで税金の負担が増えることはない、ということ。
(「プリザベーション・クローズ」と言います)
【考え方②】
租税条約を結ぶことで、自国の居住者に対して課税するときに影響させない。
(「セービング・クローズ」と言います)
この考え方を根本に置いたうえで、
居住者の判定や、PEの有無、国内源泉所得の考え方からその税率まで、租税条約の方が日本の税法よりも優先することになります。
税率の考え方
租税条約を読んでいくと、例えば、源泉徴収する税率について
「10%を超えないものとする」
という表記を見ることがあると思います。
いや、結局何%なのよ、と。
はい、租税条約では何%の税金をかけるのか具体的に決まっていないものもあります。
ここについては、
基本的にはその租税条約に書いてある最高税率で課税する
として取り扱っています。
(租税条約実施特例法という法律に書いてあります)
「モデル租税条約」
次回から租税条約の具体的な内容に入っていきますが、どの国との条約を学ぶのか?
「モデル租税条約」と呼ばれているものを見ていきます。
これ何なのかと言いますと、
全世界で200近くの国があるわけで、その国同士で個別に条約内容を交渉して決めていくとなると色んな内容の条約が世界であふれることになります。
ただ、こうなると条約内容通りに課税していくのもなかなか大変なので、
条約の「ひな型」
があるとすごく助かるよね、という話になりました。
で、OECDだったり国際連合だったり、世界的な機関がこの「ひな型」を作ってくれています。
このひな型のことを、「モデル租税条約」と呼んでいます。
基本的には、現在の租税条約はこの「モデル租税条約」を基にして条約を作っているようですね。
ということは、「モデル租税条約」を学べばあらかたの租税条約について学んだと同じ、という何とも都合のいい話なのです。
(もちろん、モデル租税条約はあくまでひな型。ひな型と違う内容の租税条約もありますから、絶対視はできませんが。)
このブログでは、モデル租税条約のうち、
OECDモデル租税条約
をメインにお話ししていきます。
【編集後記】
昨日は朝にブログの下書き。
お昼から新宿に出張して税務調査の打ち合わせ。
10年前は新宿の税務署で働いていたので、何だか懐かしい感じ。
その後カフェでブログを更新し、夕食を取って帰宅。