国際税務を学びなおす2~2つの課税方式~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、国際税務を学びなおす。2つの課税方式について。
<前回>
どの立場で課税するの?
最初にこの考え方を押さえておきましょう。
前回の記事で、国際税務の役割の1つとして、
日本と他国の間で「納税者に課税する権利」を調整する
ということを挙げました。
さて、そもそも、課税する権利を調整する必要がある場合って、どんな事態なんでしょう?
例えば、日本に住んでいる納税者がA国にアパートを持っているとします。
このアパートの賃料収入、課税関係はどうなるでしょうか?
まず、日本国としては、日本に住んでいる納税者の収入なんだから、例えA国にあるアパートだろうが賃料収入は日本で課税をしたい、と主張します。
次に、A国としては、A国にある不動産から発生した賃料収入なんだから、A国で課税する権利がある、と主張します。
大変です。
A国のアパートの賃料収入は、日本で税金が課され、A国でも税金が課され、二重に課税されているではありませんか。
この二重課税の状況を解決する税制が、国際税務のお話しとなるのです。
(実際にどう解決するのかは、次回以降の記事となります。)
2つの課税方式
記事の一番最初で、今日の記事のテーマが2つの課税方式であると書きました。
1つ目が、居住地国としての課税。
アパートの例で言うと、日本の立場です。
要するに、納税者が居住者とされる国のことを言います。
居住地国は、居住者等のすべての所得に対して税金を課税します。
2つ目が、源泉地国としての課税。
アパートの例で言うと、A国の立場です。
源泉地国、と言いますと言葉遣いが慣れないので、要は所得が発生した国、とご理解ください。
賃料収入という所得はアパートが存在する国で発生した、と考えることになります。
源泉地国は、非居住者等に対して、源泉地国内で発生した所得に対してだけ税金を課税します。
立場は入れ替わる
この課税方式の違いを理解することが、結構重要です。
そして、居住地国と源泉地国の立場は普通に入れ替わります。
といいますか、日本だから必ず居住地国というわけではなく、当然日本が源泉地国としても課税する立場になることはあり得ます。
アパートの例で言うと、A国居住の納税者が日本国内にアパートを持っている、とすればお分かりかと思います。
そしてこの立場の違いが、国際税務の制度の大きな要因になっているのです。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新と買い物。
午後からはオンライン面談の準備と夕方から図書館へ。