国際税務を学びなおす19~国内源泉所得⑨~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、国際税務を学びなおす。給料など。
<参考>
- 国際税務を学びなおす11~国内源泉所得①~
- 国際税務を学びなおす12~国内源泉所得②~
- 国際税務を学びなおす13~国内源泉所得③~
- 国際税務を学びなおす14~国内源泉所得④~
- 国際税務を学びなおす15~国内源泉所得⑤~
- 国際税務を学びなおす16~国内源泉所得⑥~
- 国際税務を学びなおす17~国内源泉所得⑦~
- 国際税務を学びなおす18~国内源泉所得⑧~
⑫給与等の人的役務提供の報酬等
国内源泉所得も終盤です。
今回の対象は、全部で3種類。
- 給料や賃金、賞与など、人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行うもの
- 公的年金等
- 退職手当等のうち、その支払を受ける者が居住者であった期間に行った勤務に関するもの
色んな種類があるように見えますが、基本的に関係するのは
会社員、公務員など
といった組織勤めの方が受け取る報酬が対象になるようなイメージです。
一つずつ見ていきましょう。
給料など
ポイントは、
国内において行うもの
というところ。
おなじみですよね。
日本の会社だろうが、外国の会社だろうが、そこは関係ない。
日本で働いた期間に対応する給料や賞与は、国内源泉所得として日本で課税の対象となります。
逆に、会社から外国勤務を命じられた場合は、外国での勤務に対応する給料や賞与は国内源泉所得とはなりません。
ここまではシンプルな話。
さて、会社勤めで給料をもらう方の中には、
会社の役員さん
も含まれています。
役員さんに限って、考え方をまったく変える必要があります。
→役員の場合は、勤務先が内国法人であれば、実際の勤務場所に関係なく給料や賞与は国内源泉所得と判断されます。
ただし、もう一歩踏み込むと、内国法人の役員の場合でも、色んな形式がありまして。
- 内国法人の役員が、内国法人の海外にある支店の長として常時その支店に勤務するような場合
この場合は、役員だけど従業員扱いになりまして、国外で勤務した分は国内源泉所得とはなりません。
また、内国法人の役員さんが外国子会社に勤務するような場合に、
- その子会社の設置が現地の特殊事情に基づくものであって、その子会社の実態が内国法人の支店、出張所と異ならないもの。
- その役員の子会社における勤務が内国法人の命令に基づくものであって、その内国法人の使用人としての勤務であると認められる。
この2つの条件を満たした場合も、役員だけど従業員扱いになりまして、国外で勤務した分は国内源泉所得とはなりません。
整理しておくと、
- 従業員
→実際の勤務場所で国内源泉所得を判定。
- 役員
→内国法人の役員であれば勤務場所関係なく国内源泉所得。
ただし、内国法人の役員をしつつ、外国支店長や外国子会社勤務となった場合は実際の勤務場所で国内源泉所得を判定するケースあり。
となります。
自由職業者
こんなカテゴリー、上で書いていたか?
「人的役務提供の報酬」に実は含まれているのです。
よく似たものとして、「⑥人的役務の提供事業の対価」があります。
あれは、自分以外の他人を使って人的役務の提供をさせるものでした。
今回は、自分自身が人的役務の提供をする場合、なのです。
- 弁護士、公認会計士等
- 映画、演劇の俳優、音楽家、声楽家等
- プロボクサー、プロレスラー等の職業運動家
といったものが該当します。
この方たちが、日本国内で行った人的役務の提供に関する報酬は、国内源泉所得として課税の対象となります。
この「人的役務の提供に対する報酬」は、実は結構幅広いカテゴリーなのです。
【編集後記】
このカテゴリーは、ちょっとひねりがありますね。
しかも今回は1番目だけで、2と3は次回になります。
さて、昨日は朝一のブログ更新。
午後からお客様の確定申告書作成と、買い出しに。