国際税務を学びなおす17~国内源泉所得⑦~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす。色んな国内源泉所得についての解説です。
<参考>
- 国際税務を学びなおす11~国内源泉所得①~
- 国際税務を学びなおす12~国内源泉所得②~
- 国際税務を学びなおす13~国内源泉所得③~
- 国際税務を学びなおす14~国内源泉所得④~
- 国際税務を学びなおす15~国内源泉所得⑤~
- 国際税務を学びなおす16~国内源泉所得⑥~
⑧利子等、⑨配当等
まずは「利子等」から。
分かりやすいところから言うと、
- 日本国の国債、地方債の利子
- 内国法人の発行する債券の利子
が当てはまります。
外国法人でも、
- PEを通じて行う事業に関する債券の利子
であればこの国内源泉所得に該当します。
あとは、
- 国内にある営業所などに預けた預金の利子や、公社債投資信託などの収益分配
も、該当します。
ポイントとしては、「内国法人」「国内」かどうか、というところ。
・・・ということは、外国の銀行でも、日本支店の預金についた利子は国内源泉所得になるということでしょう。
次に「配当等」。
- 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配など
- 国内にある営業所に信託された公社債投資信託などを除いた投資信託の収益分配
シンプルですね。
その通り考えると、外国法人の株式を持っていて配当金をもらった場合でも、この国内源泉所得に該当しない、ということ。
こちらもポイントは、「内国法人」「国内」かどうか、というところ。
さて、では課税関係を見ていきましょう。
- PEがある場合
→PEに帰属する所得であれば、利子等は15%、配当等は20%の源泉徴収のうえ、恒久的施設帰属所得として申告が必要です。
→PEに関係ない所得であれば、利子等は15%、配当等は20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
- PEが無い場合
→利子等は15%、配当等は20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
⑬事業の広告宣伝のための賞金、⑭生命保険契約に基づく年金等
ま、こういうのあるんだということで、知っておきましょう。
「⑬事業の広告宣伝のための賞金」
→国内において行われるもので、広告宣伝のための賞として支払う金品など、です。
そういうものがあれば、国内源泉所得ですよ。というお話。
「⑭生命保険契約に基づく年金等」
こちらの方は、
- 生命保険や損害保険などで、年金給付の定めのある契約に基づいて受け取るもののうち、
- 国内にある営業所や代理店などを通じて契約を締結した場合
が、当てはまります。
なお、「公的年金等」になるものは対象外です。(違う国内源泉所得になります)
やはりポイントは、「国内」でしょう。
さて、では課税関係を見ていきましょう。
- PEがある場合
→PEに帰属する所得であれば、双方ともは20%の源泉徴収のうえ、恒久的施設帰属所得として申告が必要です。
→PEに関係ない所得であれば、双方とも20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
- PEが無い場合
→双方とも20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
なお、源泉徴収する元の金額として、
「広告宣伝のための賞金」は、賞金から50万円を引いた金額、
「生命保険契約に基づく年金等」は、年金の金額から払い込んだ掛金のうち年金に対応する部分の金額を差し引いた金額、
となります。
受け取った金額自体に税率をかけるわけではないので、気を付けましょう。
⑮定期積金の給付補填金等、⑯匿名組合契約等に基づく利益の分配
このあたりから難解用語が出てきますね。
「⑮定期積金の給付補填金等」。
これ、何なのかと。
ざっくり言うと、金融機関などに毎月お金を積み立てておいて、条件を満たした場合に払戻しを受ける。その払戻金額と積み立て金額の差額を「定期積金の給付補填金等」というのだそうです。
まぁ、利息みたいなものなんでしょうね。
ただ、何でもいいわけではなく、
国内にある営業所などを通じて受け入れたもの
が条件です。
「⑯匿名組合契約等に基づく利益の分配」
まず「匿名組合契約」って何だ、と。
当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約束する
そういう契約なのだそうです。
で、こういう契約で
国内で事業を行う者に対して出資をしたことで受け取った利益の分配は国内源泉所得に該当する、ということなのです。
最後に課税関係を見ていきましょう。
- PEがある場合
→PEに帰属する所得であれば、「定期積金の給付補填金等」は15%、「匿名組合契約等に基づく利益の分配」は20%の源泉徴収のうえ、恒久的施設帰属所得として申告が必要です。
→PEに関係ない所得であれば、「定期積金の給付補填金等」は15%、「匿名組合契約等に基づく利益の分配」は20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
- PEが無い場合
→「定期積金の給付補填金等」は15%、「匿名組合契約等に基づく利益の分配」は20%の源泉徴収されておしまい。申告は不要です。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からはエクセル入力したり、郵便局へお出かけしたり。
暑さが少しマシだった日。